シンガーソングライターの星野源が公開した楽曲「うちで踊ろう」とコラボした動画をSNSに投稿した安倍晋三首相に、批判が殺到している。
安倍首相は4月12日、自身のツイッターを更新し「友達と会えない。飲み会もできない。ただ、皆さんのこうした行動によって、多くの命が確実に救われています。そして、今この瞬間も、過酷を極める現場で奮闘して下さっている、医療従事者の皆さんの負担の軽減につながります。お一人お一人のご協力に、心より感謝申し上げます。」と投稿。
添付した動画の左半分には、先日星野がアップした「うちで踊ろう」の動画が、右半分には自宅でくつろぐ安倍首相が愛犬を抱いたり、カップで飲み物を飲んだり、読書したりTVのリモコンを操作する模様が収められている。
「星野さんは3日に自身のインスタグラムで『家でじっとしていたらこんな曲ができました』と、『うちで踊ろう』と名付けた楽曲の歌詞を公開し、弾き語りする動画をアップ。『誰か、この動画に楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな?』と呼びかけました。すると瞬く間に様々なアーティストやタレントがコラボ動画をアップし、外出自粛でストレスが溜まった人々の心を癒やしてくれました。安倍首相のツイートは、話題になっている動画に自身もコラボし、自粛の続く国民へメッセージを発信しようという意図だったと思うのですが、完全に裏目に出てしまったようです」(IT系ライター)
安倍首相のツイートにタレントで俳優の松尾貴史は12日、自身のツイッターで「『過酷を極める現場』を助長させたかもしれない責任はどこ吹く風の様子で自分のイメージアップに腐心する醜悪」と、政府の対応の遅れが医療の現場を“過酷な”ものにしてしまったと指摘し、「『友達と会えない。飲み会もできない』この右の人の想像するシリアスなストレスというのは、その程度のことなのだろうか。死活問題で涙を流している人たちにはまったく思いを寄せない」と、資金繰りに窮する事業者やフリーランスが続出する中、どこか他人事のような動画に疑問を呈した。
また、タレントの麻木久仁子は12日、「令和版『パンがなければお菓子を食べればいいじゃない』………。」と、マリー・アントワネットの迷言を持ち出して、首相の姿勢を批判。続いて「国民ではなく奥方に言ったら良かったね」と、先日“私的桜を見る会”を開催したと報道され批判を受ける安倍昭恵夫人の名を出して痛烈に皮肉った。
同じく12日、立憲民主党の蓮舫参議院議員は自身のツイッターに「ご本人のお考えだとすれば、なぜ誰も止めなかったのか。側近と言われる方々の発案だとすれば、『これはおかしい』と何故総理は言わなかったのか」と投稿し、首相官邸全体の想像力の欠如、危機管理の甘さを断罪した。
「安倍首相の動画にはネットでも『庶民や中小企業の苦しい状況を、このお方はまるでわかってない』『いい部屋だな、これじゃ我々国民の痛みなんてわかりっこない』『星野源さんを政治に利用するな』と批判が殺到し、先日の“アベノマスク”に続いて“アベノコラボ”と揶揄される有様。関係者の間では、小池百合子都知事が人気YouTuberのHIKAKINの動画に出演して一定の評価を得たのを知って真似したのではないかと囁かれていますが、完全に失敗しましたね」(前出・IT系ライター)
なお、とばっちりを受けた形の星野は12日深夜、自身のインスタグラムを更新し、ストーリーズに「ひとつだけ。安倍晋三さんが上げられた“うちで踊ろう”の動画ですが、これまで様々な動画をアップして下さっている沢山の皆さんと同じ様に、僕自身にも所属事務所にも事前連絡や確認は、事後も含めて一切ありません」と記し、“政治的ディスタンス”をとっているようだ。
(石見剣)