新型コロナウイルスの感染者急増に伴い、「緊急事態宣言」が発令されてから1カ月。街の飲食店はほぼ休業状態となり、人混みでごった返した歓楽街も今は閑古鳥が鳴いている。
必然的に仕事にあぶれた人たちが増える中、目に見えないこのウイルスは、働く女性たちの生活をさらに厳しい状況へと追い込んでしまったようだ。
職種の異なる2人の女性が、その悲痛な胸の内を明かしてくれた。
「明日から、どうやって暮らしていけばいいのかわからないです…」
こう打ち明けるのは、15歳からアイドルとして活動しているカオリさん(仮名)だ。
テレビの露出は少ないものの、撮影会やライブ活動を定期的にこなし、月に20万円ほどの収入があったそう。しかし、コロナ騒動によりすべてのイベントはキャンセル。当然、休業中の補償があるはずもなく、収入源の全てを絶たれてしまった。
そこで彼女は苦肉の策として、ファンに向けてサイン入りの画像を販売することにした。ファンからの申し込みは順調なようで、今はこの売り上げにより何とか食いつないでいる状態だという。しかし…。
「緊急事態がいつまで続くかわからない。同じアイドルの中には、家賃が払えなくなり実家に帰ったり、無症状でも自分は感染者かもしれないと懸念して実家に帰ることもできず、家賃の安い地方の空き家に引っ越しをした子もいます。私もいつそうなってしまうのか」
去年までは予定がびっしりと書き込まれたスケジュール帳も、ここ数カ月は真っ白だという。
都内のキャバで働いていたりんさんも、窮地に立たされている一人だ。
「夜のお店からコロナ陽性者が出たというニュースが流れてから、客足は激減。月に40万円ほどあったお給料もゼロになりました。そのことをSNSに投稿したら、『今まで楽して稼いできたツケだ、ざまあみろ』なんて心ないコメントが来たり…。休業中の嬢向けにお客様とビデオ通話してお給料がもらえるシステムもあるみたいですが、私みたいにかわいくない、しゃべれない、飲むしかない、ないないづくしの売れない嬢が登録したところで指名が来るのかどうか。それに、もともとトークが苦手なので、お客様と電話で話せる自信もありません」
そんなりんさんに、数人のお客様からこんなお誘いが来たそうだ。
「『大人の関係込みで1万円でどうかな?』ですって。完全に足元を見られていますよね」
世界を震撼させている脅威のウイルスは、女性の人生を大きく変えてしまった。一刻も早い終息を願うのみだ。
(佐藤ちひろ)*写真はイメージ