タレントの坂上忍が5月27日放送の「バイキング」(フジテレビ系)に出演し、SNSでの匿名の発言とテレビでの発言とは全く異なるものだと主張している。
番組では、23日に他界したプロレスラーの木村花さんがSNS上での誹謗中傷に悩まされてきたことを取り上げ、インターネットでの匿名アカウントによる心ない書き込みについて議論。
一部からは、ワイドショーや情報番組における攻撃的な体制批判も、SNSで氾濫する誹謗中傷と大差が無いのではないかとの声も出ているが、坂上はこれに反論。「権力や体制に対する自分の考え、自分の身元を明かして公共の電波で、ルールの中で言っている。SNSの匿名と一緒にされちゃ困る」とし、名前も顔も公にした上での発言は匿名による誹謗中傷とは性質が異なると訴えた。
続けて、「テレビで、行き過ぎたことだったり、間違ったことを言ったら、謝罪をしなきゃいけない。BPO(放送倫理委員会)もある。もっと言ったら、現場ではちゃんとスタッフさんとせめぎ合っている中でどうする?っていうのがありますから」と話し、テレビでのコメントには多くの責任が付随すると共にスタッフとの協議の上で成り立つものだと説明している。
「都合が悪くなったら簡単に削除することもできるSNSでの投稿と、素性を明かした上で責任を持って発言するテレビのコメントを一緒にしてほしくないという坂上の見解はごもっとも。しかし、今回の木村さんへのバッシングが強まった原因の一つとして、彼女が出演していた『テラスハウス』(フジテレビ系)の“演出的編集”やスタジオコメントがあったとの指摘もありますから、番組やタレントが誰かを直接的に攻撃せずとも、誹謗中傷を間接的に扇動してしまう可能性は残ります。また、坂上はテレビというものがスタッフと話し合った上で慎重に作られていくものだと力説しましたが、一方で、3月の原宿・竹下通りの人混みの映像をまるで5月のものであるかのように放送するといった“初歩的なミス”があったのも事実。この件について番組の顔である坂上からの謝罪はなく、その役割を榎並大二郎アナウンサーに丸投げしたとして非難の声も上がっていました。番組作りにおいて、坂上が強調する“責任”と“せめぎ合い”が本当に機能していたかは疑問が残ります」(テレビ誌ライター)
ネットでは、SNSにおける誹謗中傷とテレビのコメントの違いに関し、“匿名ではないこと”を強調していた坂上に対して「身元明かしてれば何言ってもいいってわけじゃないでしょ」「身内で話し合ったから問題ない、匿名じゃないから問題ない、自己都合、自己保身の塊」「“我々も誹謗中傷を気をつけなければならないと痛感します”、ではないんですか? 自分たちは無関係みたいな感覚が理解できません」との反論が集まっている。
「誹謗中傷」と「反論・批判」の境界は曖昧で、それぞれが解釈する“正解”の下でしか判断することができず、そうした各々の物差しによる思い込みの存在こそが「誹謗中傷」が無くならない根本の要因なのかもしれない。
(木村慎吾)