現在、日本の成人女性の20人に1人が夜の世界で働いているという統計がある(チャットレディを含む)。「いつか出口を見つけたい」「夜を上がって昼間の仕事に就きたい。でも不安で前に進めない」そんな女性たちを勇気づけ、背中を押すことができるのではないか──。そうした思いを込めて事実を元にストーリー化されたのが、元艶系女優・蒼井そらの半生をドラマティックにストーリー化した小説「夜が明けたら 蒼井そら」(藤原亜姫著/主婦の友社)だ。
小説の主人公・蒼井は新聞販売店を経営していた両親と姉、2人の兄、妹の7人家族。学生時代にタレントに憧れテレビの世界で働きたいと夢を抱きながら奨学金で高校・短大に通い、アルバイトに明け暮れていた。そして、短大時代に渋谷でスカウトされたことがきっかけとなり、艶系ビデオの世界へ。初めての撮影時に感じた風景、母親に艶系女優になると報告したエピソードが描かれる。
デビュー後まもなく大人気となり、2年後にはテレビにも進出。番組共演がきっかけで知り合った男性との交際が始まる。ところが彼氏がモラハラ男と化し、私生活は暗転。仕事も有望新人が続々とデビューし、蒼井のスケジュールにも空白が目立つように。そんな不安定な折、蒼井は撮影現場で原因不明の痛みに襲われる。艶ビデオ業界で一世を風靡した蒼井の人生は「どん底」へ向かう……。
その転機となったのは、Twitterをはじめたこと。コメント欄が中国語で埋まった蒼井は中国への関心を深めていく。ある日、中国で行われるモーターショーにゲストとして呼ばれた彼女は、ファンの多さに驚きながらも「ここにいる人たちは誰も、あたしを脱がそうとしていない。裸じゃないあたしを求めてくれたんだ」と感謝し、中国語の猛勉強を開始する。
「中国版Twitterといわれる『weibo』でフォロワー数1900万人を抱える、日本人タレントでは最も成功している蒼井さん。2018年1月に結婚、現在は双子の母となっています。小説が、どこまで事実なのかは不明ですが、これほどの過酷な体験をしていたとは驚きです」(業界ライター)
ここにあるのは、つらい道のりばかりを選んでは、愚かしくもひたむきに走り続けた、“生きるのが下手くそ”な主人公・蒼井そらの葛藤の日々である。その生き様を、人の弱みや闇を掬いとることに定評ある作家・藤原亜姫氏がドラマティックに活写した小説「夜が明けたら 蒼井そら」は夜の街で働く女性のみならず、全ての女性に生きる力を与えてくれそうだ。
(編集部)