暴力教師の体罰の全容が明らかになってきた。
10月12日、兵庫県警宝塚署に傷害容疑で逮捕されたのは、宝塚市立長尾中学校の数学教師で柔道部顧問の上野宝博容疑者(50)。上野容疑者は9月25日の午後4時半ごろ、1年生男子部員2人に対し、投げ技をかけたり寝技をかけて約30分間にわたって暴行。投げ技を受けた生徒は胸椎圧迫骨折で全治3カ月の重傷、寝技をかけられた生徒も首に打撲などの軽傷を負った。警察の調べに対し上野容疑者はおおむね容疑を認めているという。
上野容疑者が生徒に暴力を振るった理由は、柔道部OBが差し入れしたアイスクリームを2人が無断で食べたこと。たったこれだけのことで、上野容疑者は生徒を何度も投げ飛ばし、失神してもビンタで起こす行為をしつこく繰り返して、背骨を折る大ケガを負わせたのだ。市教育委員会は「失神のタイミングについてはどれぐらい時間が経過しているのかわからない。投げて抑え込むことを少なくとも10回以上」行ったと説明している。言っておくが、相手は入部間もない12歳と13歳の1年生部員である。これを狂気の沙汰と呼ばずして何と言うのか。
この間、他の部員もリンチともいうべき体罰を目の当たりにしている。情けないながら、副顧問の40代教師もその場にいて、“恐怖を覚え止めに入れなかった”というが、それほどまでに現場は凄惨さを極めていたということだろう。
「中1と言えば育ちざかり。この成長期に背骨を折るという大ケガを負わされた生徒と親御さんの無念は察するに余りある。将来的な体への影響だけではなく、心理的な傷も心配だ。同市教育委員会の森恵実子教育長は会見で『体罰はもちろん、威圧的な態度や言動を注意してきたのに不十分だった』と陳謝したが、問題教師を放置した市教委の責任は大きいと言わざるをえない」(週刊誌記者)
というのも、上野容疑者は前任の中学校でも13年2月以降に、部員にビンタしたり、生徒の胸倉をつかんで押し倒すなどの暴力行為で、2度の訓告処分を受けている。また同年10月には、生徒の顔に頭突きをして鼻の骨を折り、3カ月間の減俸処分を受けていたのだ。
柔道のイメージまで貶めたこの暴力教師を、二度と教壇に立たせてはならない。