柴崎コウが、不慮の事故により25年もの間眠り続け、35歳の時に目覚めた主人公・望美を演じるドラマ「35歳の少女」(日本テレビ系)。幸せだった家族は、目が覚めるとバラバラに。望美はショックを受けながらも、懸命に大人の女性として自立しようとする。その中で25年間、娘が覚醒することをひたすら信じ、献身的に看病してきた母親役を鈴木保奈美が熱演している。10月24日に放送された第3話でも、その鬼気迫る演技に大きな注目が集まった。
「鈴木演じる多恵は、望美が事故に遭ったあとに夫・進次(田中哲司)と離婚。保険の外交員をしながら、望美の介護を続ける日々。望美が目覚めると、今度は彼女を心配するあまり、ますます周囲から孤立してしまう。ひたすら望美を守ろうとする行動が、行き過ぎてしまい波紋を呼ぶといった設定です」(テレビ誌ライター)
例えば、自分のいない間は外から玄関の鍵をかけ閉じ込めたり、望美の部屋に監視カメラを取り付けたり、スマホに登録されている結人(坂口健太郎)の電話番号を消去してしまったりと、まさに絵に描いたような“毒親”。この演技に「鈴木保奈美のサイコパス感というか毒親感がやばい」「『35歳の少女』の鈴木保奈美はホラー」など、その怪演ぶりが視聴者を戦慄させている。
女優としての新たな一面をみせつける鈴木だが、2016年に公開された映画「カノン」では、酒に溺れアルコール依存症となる母親役に挑戦していた。
「この映画は、バラバラに暮らしていた3姉妹が祖母の死をきっかけに、亡くなったと知らされていた母が、実は生きていたことを知るという物語。ここで鈴木は、酒に溺れアル中になった3姉妹の母親・美津子を演じています」(映画誌記者)
映画では、長年の飲酒が原因でアルコール性認知症を患い、娘たちを思い出せずにいる母を熱演。愛に飢え酒に溺れる荒んだ初老の女の葛藤を見事に演じ、上海国際映画祭にて最優秀助演女優賞を受賞している。
「トレンディドラマの女王だった鈴木が、今では打って変わって闇を抱えた“母親役”を演じるなど、見事に脱皮して演技派女優に転身。このドラマをきっかけに、さらなる飛躍が期待されますね」(前出・テレビ誌ライター)
白髪を振り乱した“毒親”鈴木の演技から目が離せない。
(窪田史朗)