菅野美穂主演のドラマ「砂の塔~知りすぎた隣人」(TBS系)が、視聴率10%の壁を破れずに苦戦している。謎の住人を演じる松嶋菜々子が怖すぎるとか、体操教室コーチ役の三代目JSB・岩田剛典が棒演技だなど、早くも戦犯探しが始まっている状況だ。だが同ドラマのファンだという女性誌のライターは、そもそも高視聴率を期待するのが難しい作品ではと指摘する。
「この作品では高層タワーマンションに住む主婦の上下関係といった人間模様が主なテーマ。そのためタワーマンションになじみがある視聴者にとっては“あるある”だらけで見応え十分なのですが、自宅暮らしの人や地方都市在住者にはさっぱり実感がわかないのです。また、ドラマの視聴率を支える若い女性にとっても、マンション住人同士の確執は別世界の話。つまり作品自体が観る人を選ぶ内容になっています」
とは言え、本作でのタワーマンションは閉鎖的なコミュニティを描く象徴的な存在のはず。近所付き合いやママ友同士の交流は、住む場所に関係なく共通のテーマのはずだ。だが前出の女性誌ライターは、そんなテーマをうまく描けていないのが問題だと指摘する。
「たとえばヒロイン・菅野さんの娘と、他の子供たちは幼稚園が違いますから、本来ならママ友づきあいはしないはず。それにヒロインは一般的なサラリーマン家庭なのに、一緒にママランチする相手は夫婦ともにハーバード卒だったり、夫が企業経営者だったりと、バックグラウンドが違いすぎるのが気になります。ドラマチックな人間関係を描きたかったのでしょうが、普通は似た者同士が寄り集まるはずで、現実離れしているのです。これでは視聴者が感情移入しづらいのも当然でしょう」
ドラマ好きの間では菅野や松嶋に加え、ボスママを演じる横山めぐみや、ミスコン出身ママのホラン千秋など、女優陣の達者な演技を評価する声は少なくない。それだけに無理のありすぎる設定を多くの視聴者は残念がっているようだ。
(白根麻子)