町の健康センターに数百人のマダムたちが集まり、色とりどりのサイリウムを揺らす。メンバーは華麗に歌い、踊り、そして客席に降りてファンとのスキンシップに余念がない。「噂のムード歌謡」アイドルグループ「純烈」のライブは、今、日本でもっとも濃密な空間かもしれない。今回は異色のメンバー白川裕二郎を直撃インタビュー。
──多彩なキャリアが「純烈」の魅力ですが、それにしても出発点が「相撲取り」というのは驚き。
白川 18歳で角界に入ったんですけど、1日にお米1升がノルマで、さらにプロティンで作ったスペシャルドリンクも。それでも体が大きくならず、腰痛もあったので1年で辞めてしまいました。
──そして芸能界に転身し、「忍風戦隊ハリケンジャー」のカブトライジャー役で注目されました。
白川 戦隊モノとしてはいい時代でしたねえ。後楽園ゆうえんちのヒーローショーでは、当時の観客動員を更新して、1日6ステージやったこともあります。まあ、酒井リーダーの「ガオレンジャー」が爆発してくれたおかげで、その恩恵を引き継いだ形(笑)。
──それから「純烈」でリードボーカルを務めていますが、ファン層は変わりましたか?
白川 最初の頃は戦隊ファンの人が多かったけど、ムード歌謡を続けていくことで「おもしろいグループがいるんだよ」と認識されるようになりました。それこそ、氷川きよしさんのファンの人がこっちにも注目してくれたりとか。
──そうなるとファンの応援にも力が入る。
白川 はい、ファンの人たちがおもしろい(笑)。何かあって来れなくなったら嫌いになったわけじゃないと事前に「遺書」を手渡した人や、ゴルゴ13の仮装で来る人とか。僕たちもそれに負けないステージを作っていかなきゃと思いますね。