コロナの影響から、「免疫力」という言葉に敏感になっているかもしれません。免疫力を上げるには「この栄養を摂るべき」なんていわれることもありますが、実際にはそれだけを摂っても意味がないそうなんです。
医師の大竹真一郎さんによると、ビタミンCだけ、ビタミンDだけ、乳酸菌だけ、食物繊維だけなどを摂っても免疫調整はできないとのこと。なぜなら、「桶理論」というものがあるからです。
これは、身体が必要としている栄養素のうち、何かが不足していたり極端に少なかったりすると、その最も少量の栄養素と相互作用できる範囲でしか、その他の栄養素も働かないという理論のこと。つまり、栄養はバランスよく摂取しないと意味がないというのです。
これを踏まえた上で、免疫に本当に効果が期待できる栄養素として、大竹さんは、「乳酸菌」「β-グルカン」「LPS(リポポリサッカライド)」「ビタミンA、E、C、D」に加え、「身体を温める食品」を勧めています。
β-グルカンは食物繊維の一種で、マイタケやシイタケなどのきのこ類、酵母、穀物などさまざまな食材に含まれているのだとか。そのβ-グルカンの一種である「パラミロン」を含むユーグレナという藻類は、近年、免疫調整効果があるという結果が発表されているそうです。
LPSは土の中にいる細菌由来の成分で、畑で育つ野菜、穀類、海藻類などに含まれており、明日葉やメカブなどに多いとされています。パラミロンに似た働きで、感染症の原因となる、病原体を攻撃して退治する免疫細胞を活性化させることが分かっているとか。
ヨーグルトなどから乳酸菌を摂り、きのこ類やユーグレナ、野菜や海藻類などを偏りなくバランスよく取ること。さらに質のよい睡眠で疲労を溜め込まないようにすることも重要であるようです。
そして、意外に水分摂取も必要だといわれています。大竹さんも勧めている他、脱水に備える役立つ情報を発信している『教えて!「かくれ脱水」委員会』副委員長の医師、谷口英喜さんも水分摂取を勧めています。脱水による便秘で腸内環境が悪化し、免疫バランスが崩れることもあるというのです。
谷口さんによると、腸管にある内容物をスムーズに体外へ出すためには、腸内環境を整え、かつ、ある程度の水分が便に含まれている状態をつくることが大切なんだとか。そのため、食物繊維や乳酸菌で腸内環境をよくしておくこと、水分をたっぷり取ることが重要なんだそうですよ。
免疫力を調整するためには、生活の中でいろんなことにトータルで取り組むことが必要なんですね! ぜひこの冬、意識してみてはいかがでしょうか?