2月27日に最終回を迎えた土曜ドラマ「六畳間のピアノマン」(NHK)。安藤祐介による同名小説を原作にしたオムニバスドラマは、視聴者の胸に深く刺さったようだ。
ブラック企業に勤める夏野誠(古舘佑太朗)が上河内秀人(原田泰造)によるパワハラが原因で交通事故に遭って亡くなるという事件をきっかけに、同僚だった村沢憲治(加藤シゲアキ)や大友啓介(三浦貴大)、亡くなった誠の父(段田安則)、誠ら3人が通っていた居酒屋の店主(上地雄輔)、誠の交通事故に臨場した警官(細田善彦)、誠が投稿した動画に励まされている女子高生(南沙良)など、誠とかかわりを持った人々がそうとは知らずに知り合い、影響を受け合う「人と人とのつながり」が端的に描かれた。
中でも原田が演じた上河内は、誠だけでなく憲治や啓介にも激しいパワハラをするのだが、啓介がパワハラ動画をネット上で拡散させたことから会社を追われ記憶喪失に。土木作業員として暮らしていたのだが、ある日、誠の父から「息子を返せ」といきなり詰め寄られ、自分が何者であるかを探偵社に調べてもらい、愕然とするという難しい役どころだった。
「2月18日放送の『ごごナマ』にゲスト出演した原田は、視聴者から『演技とはいえ、古舘(伊知郎)さん、三浦(友和)さんのご子息にパワハラする心情はいかがでしたか?』と質問され、『(演技を)やりながら「お父さん見てねぇかな」「(この演技を見ていたら)なんか言われるんじゃないかな」とか、ちょっとやりにくかったですね』と苦笑していましたが、とにかく大阪弁でまくし立て暴れる様子は迫力がありました。ネット上でも『泰造のパワハラがすさまじい』『古舘伊知郎と三浦友和が怒鳴り込んでも不思議じゃないレベル』『泰造の「アウトレイジ」を思い出した』など、パワハラ上司だった頃の演技を称賛する声があがっています。その一方で『いい人になりたいって工事現場で働く泰造の姿にキュンとした』『泰造のふり幅のある演技に驚いた。記憶喪失後の上河内に胸がしめつけられた』など、記憶を失った後の演技も好評のようです」(テレビ誌ライター)
1991年放送の大河ドラマ「太平記」(NHK)が大河デビュー作の原田。この時はエキストラとして死体役だったそうだが、いい役者になったと感心せずにはいられない。