ジャニー喜多川氏が逝去して、およそ2年。その19年からベテラン勢の退所が相次ぎ、今年は3月にTOKIOの長瀬智也、11月1日には森田剛が去ると同時にV6が解散する。
そんななか降って沸いた、KinKi Kidsの堂本剛の“6月退所説”は宙に浮いたまま。ジャニー氏が手塩にかけて育てた30代、40代のタレントが続々辞めているため、“スペシャルなお気に入り”だった剛が英断を下しても不思議ではない。
KinKiは、奈良県出身の剛と兵庫県出身の堂本光一が14歳の時に結成。同じ関西出身で、めったにない「堂本」という同じ姓にして、同学年。しかし、ジャニー氏は2人に異なる育て方をした。剛はほめて伸ばし、光一は叱って伸ばしたのだ。
「剛が叱られたのは、記憶では1度だけだとか。休校日に合宿所にいて、昼過ぎに起きて冷蔵庫を開けて何があるかをチェックしていたら、『なんでいるの?』と聞かれた。『学校が休みやからさ』と怪しげな答え方をすると、『絶対ウソだよ。休みなんかじゃないんだよ。絶対ウソだよ』とめちゃくちゃ怒られたそうです。まだ義務教育だったので、“親”が追及するのは当然ですが」(アイドル誌ライター)
ジャニー氏は剛にアイドルデュオ以外の生き方も示した。剛は05年から「ENDLICHERI☆ENDLICHERI」、「美 我 空(びがく)」、「SHAMANIPPON シャーマニッポン」、「ENDRECHERI」といったコンセプトが異なるプロジェクトを立ち上げて、コンサートも開催してきたが、きっかけはジャニー氏だった。音楽の視野が広がったおかげで、メンタルバランスを保てたという。現在唯一残っているENDRECHERIは、昨年リリースされた最新ライブ映像「ENDRECHERI TSUYOSHI DOMOTO LIVE 2019」が「オリコン週間DVDランキング」で初登場1位を獲得。初のデジタル解禁もした。
「アイドルのKinKiと異なる曲調、リリックを開拓していく過程で、事務所関係者から『女の子にモテなきゃいけないのに、なんでそんな男っぽいメッセージソングを書くんだ』と反対されたこともあります。しかし、ジャニーさんはステージ演出に関して、『君は誰の言うことも聞いちゃダメ』と剛側に立ったアドバイスを送っています」(前出・アイドル誌ライター)
葬儀で剛がジャニー氏の亡骸に「愛してるよ」と言いながら、おでこにキスをしたのは有名な話。褒めて伸ばしてもらった恩義をこの先も忘れることはないだろう。
(北村ともこ)