俳優・六平直政が10月31日放送の「なりゆき街道旅」(フジテレビ系)に出演し、故・渡哲也さんの驚きの行動に感銘を受けたエピソードを紹介した。
現在はホリプロに所属する六平だが、劇団・状況劇場時代には10年近く所属するも「劇団からもらったお金は(トータルで)20万円いかなかった」と振り返り、下積み時代は様々なアルバイトに汗を流すことで生計を立てていたという。
中でも印象的だったアルバイトは舞台などの設営を行う大道具で、1987年には同年に亡くなった石原裕次郎さんの葬式のセットの建て込みを担当したと告白。これには番組MCのお笑いタレント・ハライチの澤部佑も驚きのリアクションを見せたのだが、六平はこの葬式バイトのエピソードを渡さんの前でも紹介したことがあるという。
2001年公開の映画「BROTHER」で渡さんと共演した六平は、「渡さんの部屋にトントンって挨拶に行ったの。『渡さん、失礼します』って」と当時を思い出し、会話の中で、渡さんから「どういう風にして生業を?」との質問があった。六平は「全然お金もないし、大工ですね」とバイト生活であることを伝え、「『そういえば石原裕次郎さんのお葬式もやったなぁ』って、チラッと言ったの。そしたら渡さんが『今、何とおっしゃいました?』って言うの。『青山斎場の石原裕次郎さんのお葬式、前日の準備から本番まで大工でやりました』って」と渡さんとのやり取りを明かした。
渡さんは「そうですか。(石原プロの)先代の社長の葬式を」と六平との意外な縁に驚き。六平はその後の渡さんの振る舞いを「(楽屋の高座から)降りてきて、こうやって俺の前に正座してさ、『先代の社長の葬式をありがとうございました』って」と、正座をしながら深く頭を下げるジェスチャーで表現していた。続けて、「そしたら、周りに座っていた石原プロの偉い人がみんな降りて来ちゃって。みんな『ははー!』って(六平に頭を下げた)。これは実話」と説明。六平は一連のやり取りを通し、「渡さんって大物だなって思った。俺ごときに正座してお辞儀する必要ないじゃん?」と、その律儀な姿に感銘を受けたという。
「六平の貴重なエピソードから、2人の昭和のスーパースターによる深い絆が垣間見られたとして、ネットでは『ほろっとしました』『素晴らしいエピソードですね。石原裕次郎さんに対するリスペクトがよく伝わります』『石原プロや渡さんのエピソードってどれもこれも心温まるお話ばかりです』『素晴らしい方だな、渡さん。歳を取っても頭を下げる人になりたい』『こういうことを出来る渡さんはカッコいい。そうさせた石原さんも』などと感動する人が続出。
また、『渡哲也さんの大物ぶりというよりも、いかに石原裕次郎が大物であったかを物語るエピソードですね。生きていたらどんな存在だったのだろうかと思います』との声や、年下で若手だった六平に対しても敬語で話す渡さんの礼儀を讃える反応も多かったです」(テレビ誌ライター)
なお、六平は、歌手・郷ひろみの結婚披露宴の会場設営にも大道具としてかかわった経験もあるといい、多くの学びを得られた実りあるアルバイト生活だったと言えるだろう。
(木村慎吾)