トーマス・バッハ国際オリンピック委員会会長の“チャイニーズピープル”発言をも上回る、とんでもない騒動が8月4日に勃発した。これは、失言騒動というよりは“口の災い”ともいうべき事件だった。
この日、名古屋市の河村たかし市長は、表敬訪問に来た東京五輪・ソフトボール日本代表の後藤希友選手と対面。河村市長は「せっかくだから、(首に)かけてちょうだい」と頼み、後藤選手がメダルを彼の首にかけると、あろうことか、メダルを口元へ寄せ、マスクを外して直接ガブリと噛み付いたのだ。
この暴挙には後藤選手も「アハハ」と苦笑。市長は「オッケー、オッケー」「あー、ほんとに重てぇなぁー」などと終始上機嫌だったが、すぐにその愚行が映像とともに拡散され、大炎上騒動に発展。市役所には連日にわたって批判やクレームの電話、メールが相次ぎ、メダリストへの敬意がないことに加え、コロナ禍における衛生的な観点からも、あまりに不適切な行為だったとして猛烈なバッシングを浴びたのだ。
河村市長の行為には、後藤選手も内心では仰天させられたに違いないが、柔道男子60キロ級の金メダリスト・高藤直寿選手はSNSにて「自分の金メダルでも傷つかないように優しく扱ってるのに。怒らない後藤選手の心の広さ凄すぎ。俺だったら泣く」と投稿。フェンシングの太田雄貴氏も「選手に対するリスペクトが欠けているうえに、感染対策の観点からもセレモニーさえも自分自身やチームメイトでメダルをかけたりしたのに、『噛む』とは。ごめんなさい僕には理解できません」と綴った。
「『メダルかじり虫』なる不名誉なあだ名まで浸透してしまった河村市長ですが、実は表敬訪問では、“口の災い”以外にも、ハラスメントに該当するような言葉もありました。わざわざ市役所を訪れた後藤選手の体格について『でかいな、でかいな』と繰り返し、『ええ旦那をもらって。まぁ旦那はええか? 恋愛は禁止かね?』とも発言。また、カメラが後藤選手に近寄り、顔と金メダルのアップを撮影していると、『お~、アップに耐えられるかな』などと語ったのです。河村市長は、2014年7月26日に中部国際空港で開催された『世界コスプレサミット』の開会式でも、テープカット役として招かれ、登壇するやいなや、当時18歳だった声優・伊藤美来の肩に手を回して抱きつくというハラスメント行為に及びました。観客席からはブーイングが起きていたといいますが、そうした反応も、河村市長にとってはお構いなしだったのでしょう」(テレビ誌ライター)
後日、後藤選手には新しいメダルが届けられたが、さすがに河村市長の愚行は、なかったことにはできないだろう。
(木村慎吾)