コロナ禍から徐々に回復しつつあるジャニーズのコンサート事情。King & Princeは4月2日の福岡PayPayドームから初の4大ドームツアー「King & Prince First DOME TOUR 2022 ~Mr.~」(~5月15日、バンテリンドームナゴヤ)を開催する予定で、全体的に上向き傾向にある。
ジャニーズとドームの歴史は長く、89年に東京ドームで開催した男闘呼組に端を発する。以降、東京ドームの記録を多く刻んだ。99年には、CDデビューしていないメンバーだけによる単独公演としてジャニーズJr.が初進出。07年には、平均年齢15.2歳だったHey! Say! JUMPが史上最年少公演記録を樹立。09年には、KAT-TUNが8日間連続公演を成功。驚くべきは、単独コンサート回数の1位が嵐、2位がKinKi Kids、3位がSMAP、4位が関ジャニ∞、5位がKAT-TUNですべてジャニーズグループであることだ。
ドームコンサートのバックステージは、セットチェンジや早着替えでてんてこ舞い。欠かせない物がいくつもある。「フェラーリ」もそのひとつだ。ステージ関係者が言う。
「ステージ裏を速やかに移動するための台車のことを、こう呼ぶのです。乗るのはアーティスト、押すのはスタッフさん。アーティストはこのわずかな間に衣装のボタンをとめたり、水分補給したり、汗を拭いたり。舞台裏でも高いモチベーションを保つため、嵐らがジュニアの頃からこう呼ばれていました」
人の手によって動かされているのは、アリーナを1周するトロッコも同じ。トロッコによる外周は、アーティストとスタンド席に座るファンたちが接近できる貴重な“ファンサタイム”(ファンサービスできる時間)。その下では、複数名のスタッフが必死で押している。
バックステージの移動で欠かせないものは、まだある。自転車だ。
「アーティストは、上手から下手へという長い移動の時は自転車に乗ります。バックダンサーのジュニアたちは、全力で走る。このはっきりした差別化もジャニーズの伝統です」(前出・ステージ関係者)
ドームでコンサートを開くことができるアーティストは、一流の証。ジャニーズはオールスターズによる「Johnny’s Festival ~Thank you 2021 Hello 2022~」や大みそか恒例のカウントダウンコンサートをはじめ、年間通して多くのグループが単独コンサートを開いている。派手なステージの裏では、フェラーリや自転車が疾走しているのだ。
(北村ともこ)