世の中は今やポジティブ信仰者続出。どこもかしこも“ポジティブになって自分を高めよう運動”のオンパレードですよね。
でも、ちょっと行き過ぎていて、「ポジティブにならなきゃ……」と、逆にストレスを溜めている人もよくみかけます。誰にでもどうしようもないテンションがあり、キャパがあります。なので、いつ何時でもポジティブを意識すればいいというわけでもないのです。
もちろん、基本的にポジティブになるのはいいことです。例えば、自分が「こうなりたい!」という未来像を、実際に紙に書いたり口に出したり人に話したりすることが【自己成就予言】となり、その通りの未来が作りやすくなります。
また、人は、描いた未来までしかたどり着けないというところもあります。そういう意味でも、ポジティブに未来を描いて行動するほうが夢を実現しやすいでしょう。
とはいえ、何でも杓子定規的なのはよくありません。心底絶望して立ち直れない人に「立ち直れ、未来をみろ」と言っても、苦しくて、ますます絶望するだけです。
人間には、壮絶な苦しみのときがあります。大失恋したり結婚詐欺に遭ったり愛する人の死などを体験したりすると、【デッドゾーン】という超ネガティブな心理状態になります。こんなときには、ポジティブを目指すのではなく、どっぷり存分に悲しみ、休養する時間が必要です。ある程度の時間が経ってはじめて、ポジティブになることでの効果が出て立ち直れるようになるのです。
絶望のときは、あせらないことです。仕事を休まずにしていたらそれだけでかなりスゴいことなので、「私ってエライ」と自分を褒めてあげてください。休日には好きなだけ眠り、好きなだけ好きなモノを食べて、自堕落でいいんです。無理に元気になろうとしても、高い目標に押しつぶされてしまいます。
1ヵ月もすると、何も考えなくても何か行動したくなってきます。ポジティブになるのはその後です。そんな自分のタイミングを大切にしてくださいね。
安藤房子(あんどうふさこ) 恋愛心理研究所所長。離婚を機に日本初の恋愛カウンセラーとして独立。メールカウンセラーの草分け。心と身体両面からのアプローチで婚活・恋活女子を応援。著書は韓国・中国でも翻訳出版。心理テストの作成やメディアでMCとしても活躍中。