なぜ“学びにならない”映像を情報番組で流すの? そんな素朴な疑問を口にしたのは国際政治学者のコメンテーターとして「めざまし8」(フジテレビ系)に出演する三浦瑠麗氏である。
8月30日の放送では、番組が独自で入手したという大阪府を走る電車内での殴り合い喧嘩の映像を紹介。バトルを繰り広げたのは男女のカップルで、互いの髪の毛を引っ張り、激しく殴打し合う20秒ほどの動画が3~4回ほどリピートされて流された。
その場に居合わせた乗客が2人のバトルを撮影し、8月27日頃よりSNSにアップすると、瞬く間に拡散。多くの人の目に触れることになったが、番組MCの谷原章介が「瑠麗さん、女性強いですよね」と一歩も引かないタフな女性について三浦氏に振ると、三浦氏は「まぁ、そうなんですけど」「私は、ただ、こういう映像をテレビで放映すること自体がどうかなと思うんですね。これ見ても何の学びにもならないですし」と一般人の殴り合いの動画を繰り返して伝えることの意味に首を傾げた。
続けて、「暴力っていうのは社会では年々減ってきてるんですよ。暴力というものや、あからさまな破廉恥な行動が少ないだけに、話題を集めるんだけども、皆が不快だなと思うことからどういう行動を取るかというと、遠ざかるわけでしょ。遠ざかって話題にすること自体が、暴力が珍しくなってきたんだなということを象徴しているのかもしれない」との見解を示した。
「凄まじい剣幕でカップルがつかみ合いを続ける動画に関し、SNSでは『世も末』『リアルスマッシュブラザーズ』『何回見てもおもろい笑』など、どちらかというと嘲笑の的となっており、『迷惑だから家でやって』『こういう人は電車に乗るな』などの怒りの声もありました。
また、喧嘩自慢の実力者が集う格闘技イベント『ブレイキングダウン』と重ねて揶揄するユーザーも散見。このイベントのスペシャルアドバイザー・朝倉未来も、このカップルの喧嘩動画をツイッターで引用し、『応募待ってます笑』と“スカウト”するなど、完全にネタの対象に。これを全国放送の朝の報道番組で何度もリピートして紹介することに『何の学びにもならない』と苦言を呈した三浦氏には『全くその通りだと思います。おもしろおかしく、耳目をひく目的の放映』『マスコミもいい加減考えてほしい』『電波の無駄使い』『朝から見ていて不快な映像だった』と支持する人が多かったですね」(テレビ誌ライター)
世間からすると、1組のカップルの喧嘩動画よりも、報じるべき事案がほかにたくさんあったのではないかというのが素直な感想なのかもしれない。
(木村慎吾)