税金を使うことは必ずしも“悪”ではない。現在、その実施をめぐって賛否を集めている安倍晋三元首相の国葬に関し、タレント・武井壮はそのように述べている。
国民をはじめ、野党からも強い反発の声が上がっている国葬だが、その主な要因には、国会を介さない形で閣議決定されたことや、必要予算として警備費を含まない2億5000万円という金額を発表していた点にある。実際には警備費用として8億円、また、海外要人の接遇費に6億円程度が必要となり、その総額は16億5000万円ほどに達する見込みであることが報告されている。
武井は9月5日放送の「バラいろダンディ」(TOKYO MX)の中で、大きな反発を浴びる国葬の実施について意見を求められ、「国葬の話が出ると、何か税金でまかなうとか、いくら使うとかみたいなニュースばっかり出るじゃないですか。それに伴って、どういった経済効果が社会にあるのかとか、例えば、いろんな国の要人の方々が来て、どのぐらい影響があるのかとか、そういったバランスについてもっとしっかりと話せばいいのになと思いますね」とコメント。国葬を実施することによって得られるものについての説明が足りないとの見解を示した。
また、これを報じるメディアに対しても、「これくらいの税金を使うけれども、こういった効果もあるとか、そういうことをニュースでも出せばいいのになと思います」と提言し、「そうじゃないと、ただ税金を使うことが悪いことみたいな、税金を使うって決して悪だけじゃないと思ってて、それは民間に降りたりとか、使うことで我々の生活に返ってくるわけで、そういうことも含めて国民に理解させるべきじゃないかなと思うんですけどね」と主張。政府の説明が国民を納得させられるものになっていないと感じているようだ。
「“税金を使うことは決して悪ではない”との武井の言葉には、世間から『その通りだと思います』との声がある一方、『税金のことばかり言われるのは長年蓄積した政治への不信だと思うよ』といった指摘もあり、やはり、多くが懸念しているのはその使い道が果たして正しいものなのかという点です。また、国葬を実施することで得られる経済効果や、要人の来日による効果をハッキリさせるべきとの発言には、『経済効果があるとか見返りがあるとか言うのは故人に失礼』『国葬を外交と捉えていることがそもそも違う。結果的にそうなるかもしれないが、それを押し出して国葬をするのはいいものなのか?』といった反論が寄せられました」(テレビ誌ライター)
現在、大きな社会問題に発展している自民党議員と旧統一教会のつながりにおいても、安倍元首相は祖父・岸信介元首相から3代にわたって密接な関係性があったと報じられており、その点も反発が絶えない原因なのかもしれない。
武井が指摘した、国葬による二次的な効果を示すだけでは、なかなか国民の理解を得るには至らないのかもしれない。
(木村慎吾)