「ヘルプマークに酷似している」として物議を醸している、歌手・椎名林檎の新アルバムの付属グッズについて、販売元の「UNIVERSAL MUSIC STORE」は10月18日、発売延期を報告した。
UNIVERSAL MUSIC STOREの公式サイトでは、「椎名林檎 オフィシャル・リミックスアルバム 百薬の長【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤】付属グッズに関するお詫びと発売日変更について」と題したリリースをアップ。それによると「11月30日に発売を予定しておりました、椎名林檎オフィシャル・リミックスアルバム『百薬の長』【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤】に付属するグッズの内容について、多くの皆様からご意見をお寄せ頂きました。弊社にて検討した結果、当該商品につきましてはグッズのデザインを改訂するとともに、発売を延期いたします」と報告。
さらに付属グッズについては「内容及びデザインを弊社で企画検討したものです」と認め、「そのデザインについて改めて弊社で検証しましたところ、法令の確認を含めた各種チェックが不十分であったこと、また、日本赤十字社及び東京都福祉保健局からも各マークの使用規定などについてご指導を頂きましたことなどを踏まえ、このたびの決定に至りました」と変更に至った経緯を明かした。
その上で「ファンの皆様、当該商品をご予約頂いた皆様、そしてリミックスアルバムの制作に携わって頂いたアーティスト及び関連各位の皆様にご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。そしてヘルプマークをご利用の皆様、その普及に努められている皆様には、ご不安・ご不快な思いを抱かせてしまいましたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪。「今後は制作物に対するチェック体制および社員向けのコンプライアンス/倫理教育についても改めて見直し、再発防止につとめてまいります」と締めた。リリースにはグッズの新しいデザインも公開されている。
これについてネット上では、《ヘルプマークを使用しています。椎名林檎さんサイドがどんな意図だったのかは知りませんが、デザイン改訂してくれてよかったと思う》といった声もあったが、《対応が遅すぎ》《こういうマークを面白半分でいじるのは、モラル的に問題ありだと思う》《制作サイドの不勉強という言葉では片づけられませんね》など依然、厳しい批判の声が上がっている。
「付属グッズは全部で4種類あり、その中で問題とされたのがヘルプマークに全体的なデザインが酷似したアクリル・カードケースと赤十字マークが入ったマスクケースの2種です。特に赤十字マークについては、雑誌のグラビア撮影でナースのコスプレをする際などにこのマークを使うと法令違反の可能性があるというのはグラビア業界ではほぼ常識となっています。」（週刊誌記者）
ヘルプマークについては、実は以前から可愛いデザインにアレンジされたものがネットで簡単に購入でき、役所や駅、バスの営業所などで誰でももらうことができる。そんな背景もあって、一部の人が地雷系などの“病んでます”アピールをするために、または単に「可愛い」「目立つため」といった理由でアクセサリーとして使っていることが問題視されていた。
ユニバーサル側がデザインを変更しても、ヘルプマークをほかの目的に利用する人間が減らない限り、本当に助けを求めている人にとっては、実は根本の問題解決にはならない。せめて今回の件で、ヘルプマークの意義が広く知れ渡ることを願うばかりだ。
（柏原廉）
