80年代から90年代にかけて、東京都内の原宿、六本木、西麻布にあったジャニーズ合宿所。古くは川崎麻世に始まり、たのきんトリオ(田原俊彦、野村義男、近藤真彦)、少年隊や男闘呼組、SMAP、TOKIO、V6ほか多くのスターが育ち、巣立っていった。
創業者のジャニー喜多川氏も住んだことがある合宿所には、寮母もいた。親元を離れた中学生も住んでおり、スター候補生たちの思い出話は枚挙にいとまがない。有名だったのは、「出る」という話。つまり心霊現象だ。入居したタレントは誰もが一度、招かれざる客と対面していたという。ほかには、“呪いのビデオ”もあった。アクロバット集団「忍者」が出演したVHSのビデオテープに、謎の声が収録されているというものだ。エンドロールが終わり、画面が砂嵐になってもしばらく消さずにいると、不気味な歌が聞こえてくる。その噂を聞いて、当時のジャニーズJr.たちとこぞって視聴していた中に、KinKi Kidsの堂本光一がいた。ビデオを見て大騒ぎし、みんなで1階に逃げたという。
「その光一は、やや鈍感なところがありました。合宿所には浴室が2つあって、そのうちの1つが『出る』と言われていました。知らずに、そっちに入ってしまった光一でしたが、『そっち出るほうやで』と言われても、『そうなん?』と平然としていたそうです」(アイドル誌ライター)
ホラーな体験をした回数が断トツで多いのは、城島茂。幽体離脱したこともあり、合宿所の中央にあった吹き抜けを上昇したという珍しい経験の持ち主。元メンバーの山口達也と同じ部屋で寝ていた時は、「ガチャ」と扉が開く音がしたという。誰かが中を見ている気配を感じたが、城島は別の部屋で寝ていた稲垣吾郎かと思い、気に止めなかった。次の瞬間、山口が飛び起きた。なんと金縛りにあっていたという。城島は山口を落ちつかせるためにリビングへ行くと、稲垣がギターを弾いていた。ずっとリビングにいたそうだ。
「城島、山口、稲垣の3人で中居正広の部屋に行くと、電気をつけた瞬間に電球が割れたこともあったそう。キッチンに戻ると電話が鳴り、受話器を取ると無言だった。中学生から住みはじめた岡田准一は、正体がつかめない声を何度も聞いていたといいます」(前出・アイドル誌ライター)
原因はすべて不明のまま。スーパースターの卵に会いたくて、霊が集まっていたのかもしれない。
(北村ともこ)