その紹介、おかしくない? 多くの視聴者がそう憤っていたようだ。
5月24日放送の「上田と女が吠える夜」(日本テレビ系)に、元スピードスケート選手の髙木菜那がゲスト出演。寝る直前に飲み会に誘われたら、断れずに行ってしまうといったエピソードを明かしていた。その髙木を巡ってMCの上田晋也が失礼な発言をしていたという。
番組の序盤で上田は「北京オリンピックの女子パシュートで銀メダルを獲得した元スピード選手の髙木菜那選手です」と紹介。画面には銀メダルを首にかけ、表彰台で手を振っている姿が映し出された。しかし髙木の実績を考えれば、この紹介は絶対にありえないのである。
「なにしろ髙木は日本人女子の五輪選手として初めて、一つの大会で複数の金メダルを獲得した実績の持ち主ですからね。2018年の平昌五輪では女子団体パシュートでの金メダルに加え、初開催となった女子マススタートでは初代女王にも輝く活躍を見せました。そもそも常識的に考えて、金メダルの実績を持つスポーツ選手を『銀メダリスト』として紹介すること自体、あまりにも失礼で異常だと言わざるを得ません」(スポーツライター)
それに加えて北京五輪の銀メダリストとして紹介したことは、髙木にとっては屈辱ですらあるというのだ。
北京五輪の女子団体パシュートでは髙木に対し、妹の美帆と共に2大会連続での金メダルという期待がかけられていた。日本チームは順調に勝ち進み、カナダとの決勝戦ではリードを守っていたものの、カーブで菜那が転倒。ゴールで泣き崩れた彼女は「転ばなかったら優勝できたかも」とのコメントを絞り出していたである。
「そんな因縁のレースをまさか、彼女の代表的な業績として取り上げるなど、テレビ番組としてあってはならないことでしょう。平昌五輪のマススタートではゴールの瞬間に満面の笑顔でガッツポーズを繰り出していましたが、なぜそちらの映像を使わなかったのか。まったくもって理解に苦しみます」(前出・スポーツライター)
平昌五輪に関しては番組の中盤で、上田が「ほらやっぱり金メダリストだし」と話を振り、その際に「2018年平昌五輪」とのテロップが示されていた。見方を変えれば番組側は、髙木が金メダリストであることをしっかりと認識していたのである。
その髙木はこの3月、同局の報道番組「news zero」の金曜パートナーに就任。それを伝える日テレNEWSのウェブニュースでは、タイトルにきっちり「平昌五輪2冠・髙木菜那」と入れていた。
どうやら日本テレビとしては決して、平昌五輪の実績を軽んじているのではない様子。そうなるとやはり今回の「銀メダリスト」問題は、番組の制作陣に責任が所在しているようだ。