「あなたがしてくれなくても」という、夫婦の“夜の営み問題”がテーマのドラマが話題ですね。このドラマ、元は男性向けのマンガでした。それが単行本となったあたりから女性たちからも支持されたそうですが、「なるほどそうか」とその理由が分かります。なぜなら、現実にもこうした問題に悩む女性が多いからです。
その理由として2つ考えられます。1つは、「私は本当に愛されているの? 私には女性としての魅力が欠落しているの?」と不安を感じてしまうから。もう1つは、「このままだと、妊娠・出産のチャンスを逃したまま出産適齢期を逃してしまうのでは?」という不安を感じるから。
そして今、後者の不安を持つ女性がとても増えているのではないでしょうか。それはおそらく、そもそも初婚年齢が上がっていることとも無関係ではない気がします。
人口動態調査によれば、1995年の初婚妻の平均婚姻年齢は26.3歳。それが2021年には29.5歳と、3.2歳アップしています。35歳以上の出産は高齢出産というカテゴリーとなりますし、年齢が上がるほど健康的な赤ちゃんを出産できるか、母体は安全かという点のリスクが高まります。
もちろん、現代では医療技術も進んだでしょうから、一概に数値だけでは言えないかもしれません。でも、かつても今も、女性の中には「30歳」「35歳」という年齢において感じる雰囲気は、さほど変化していない気がします。つまり、出産を急ぐ気持ちが、どうしても強くなりがちなのです。
もしかしたら、「早く出産したい」という妻側の何気ない言動に圧を感じた夫側が、余計にその気になりにくくなって“レス”になるのかもしれませんね。人の心の襞(ひだ)とは微妙で繊細なものです。出産を急ぐ妻こそ、夫に圧をかけない配慮が必要なのかもしれませんね。
安藤房子(あんどうふさこ) 作家・恋愛心理研究所所長。離婚を機に日本初の恋愛カウンセラーとして独立。メールカウンセラーの草分け。心と身体両面からのアプローチで婚活・恋活女子を応援。著書は韓国・中国でも翻訳出版。心理テスト作成やメディアでMCとしても活躍中。