なぜ1週間も放っておいたのか? 疑問に感じた視聴者もいたことだろう。
7月19日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第93回では、元旦に岩手に帰省したヒロインのアキ(能年玲奈)を、マネージャーの水口(松田龍平)が迎えに来る姿が描かれた。
4カ月前に上京し、GMT6の一員としてアイドル活動していたアキ。しかし人気はパッとせず、年末に開催された「アメ横女学園」の国民投票では解雇処分の42位に終わっていた。退所者が二人出たため40位に繰り上がり、解雇こそ免れたものの、GMTメンバーの中では最下位という現実に打ちのめされていたのである。
しかし故郷の北三陸に帰ってみると、地元の人たちは全員がアキを大歓迎。海女カフェでウェイトレスを務めれば客から「アキちゃん!?」と驚かれ、記念写真をせがまれる人気ぶりだ。これでは東京に戻りづらくなるのも無理はないだろう。
「アキの帰りを待っていた水口はしびれを切らし、1月7日の夜に16件もの留守電を入れていました。途中からはGMTメンバーたちが口々に《早く帰ってきて》と懇願。さらには付き人としてついていた女優の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)までもがメッセージを吹き込んでいてくれたのです」(アイドル誌ライター)
みんなが自分を求めていることに気づき、気が変わりそうになっていた矢先、親友のユイ(橋本愛)が現れる。父親が倒れたことから一緒に上京する約束が果たせず、いつの間にか地元のヤンキーになっていたユイの姿を見て、アキは牡蠣小屋に閉じこもってしまった。
その姿には視聴者も、水口と同様に「なんだよ、もう少しだったのに」と思ったことだろう。しかし当の水口はなぜ、1月7日の夜になるまでアキに電話をしなかったのか。「ここ数日、キミのことを考えている」と留守電に吹き込むほどにアキのことが気になっていたのであれば、もっと早い時期に電話を入れるべきだったのではないだろうか。
「その理由は水口がGMT6のマネージャーだからでしょう。アイドルグループにとってお正月は書き入れ時。初七日は毎日のように路上ライブやファンイベントに忙殺され、不在のアキに構っている余裕はなかったはずです。しかも2010年のカレンダーでは1月9日~11日が三連休となっており、アキを岩手まで迎えに行けるタイミングは1月8日(金)ただ一日しかない。そのドンピシャのタイミングで水口は、アキのもとを訪れたのでしょう」(前出・アイドル誌ライター)
GMT6のメンバーたちは留守電に、アキに戻ってきてほしいとの思いを吹き込んでいた。正月休みの期間中、アキ不在の状態でライブやイベントを重ねるうちに、彼女がいないことで空いた穴の大きさを実感したのだろう。
このようにアイドル業界目線でみれば、水口がアキを呼び戻すタイミングは1月7日の夜から1月8日にかけたタイミングしかなかったのは明らか。納得の筋書きに、アイドル好きの視聴者はますます「あまちゃん」に引き込まれたに違いないだろう。