この組み合わせがまた観られたなんて…運命の巡りあわせに驚く人も多かったことだろう。
7月27日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第100回では、ヒロインのアキ(能年玲奈)が東京・原宿の純喫茶アイドルを訪問。マスターの甲斐(松尾スズキ)に対して自分が、同店でアルバイトしていた天野春子(有村架純)の娘であることを打ち明けた。
甲斐は40年来のアイドルオタクで、アイドル志望だった若かりし日の春子を雇っていた。岩手出身ながら普段は標準語でしゃべっていた春子だが、驚いた時だけは「じぇじぇ!」という地元の方言が口をついて出ていたという。娘のアキが同じように「じぇじぇ!」と驚くと甲斐は、「なんか聞いたことがあるぞ…すっごい昔に」と反応していた。
「この時点でアキは、自分が春子の娘だと何度も自己紹介していたのに、甲斐はスルー。アキが『じぇじぇ』という方言を口にしなかったら二人の会話はどこまでも噛み合わないままだったかもしれません。この『あまちゃん』には会話がすれ違うシーンが多く、そこから少しずつ噛み合っていく流れも見どころの一つだと言えそうです」(芸能ライター)
アキの説明でようやく春子のことを思い出した甲斐。だがアキとの会話はさほど膨らんだ風でもなく、あっさりと次の場面に進んでいた。
このまま二人の関係も噛み合わないまま終わるのか。ところが現実世界ではマスターとアキが8年後、舞台上で再会を果たしていたというのである。
「2021年に上演された舞台『シブヤデアイマショウ』では、甲斐を演じた松尾が総合演出を担当。アキ役の能年(のん)が二番手で出演していました。それ以前にも2018年には松尾が主宰する劇団・大人計画の30周年記念イベントにのんが出演したり、2020年にはトークセッションで対談したことも。2021年にはつい主要キャストとして共演を果たしていたのです」(前出・芸能ライター)
能年(のん)によると、舞台を見に行くと隣に松尾が座っている偶然もあったという。朝ドラでは薄い交わりだったアキと甲斐が、現実世界では舞台人として深い関わりを持つようになっていた。そんなところにも「あまちゃん」という作品の深さが感じられるのではないだろうか。