7月26日、NHKが東京・渋谷の同局で定例会見を行い、両親の自殺をほう助した容疑で逮捕された歌舞伎俳優の市川猿之助(本名・喜熨斗孝彦)容疑者が過去に出演していた作品の配信停止について撤回することを明かした。
NHKは6月28日に猿之助容疑者が出演していた同局の過去作品について、「NHKオンデマンド」での配信を停止したことを明らかにしていた。しかし、今回の会見では、山名啓雄メディア総局長によると「停止に関して、非常に多くの皆さまから批判的な声をいただいた」という。山名総局長は続けて、「有料動画配信サービスの普及により、自ら選んで番組を見るというような権利意識が高まっておりまして、こうした声を受けまして、今回、慎重に検討した結果、番組の作品性は尊重されるべきだという結論に至りました」と明かし、「配信を停止していた番組はできるだけ速やかに配信を再開することといたします」と撤回を宣言した。
「今回の配信停止措置について、NHKには約1000件もの批判の声が届いたといいます。多くは『作品に罪はない』『有料の動画サービスなので、その番組を見るかどうかは利用者に委ねるべき』というもので、配信停止が発表された直後のネットの声とほぼ同じ。さらに、山名総局長は『今後、NHKオンデマンドにおきましては、原則、一部の出演者の逮捕での配信停止は原則行わない』と方針を発表しました。個別の事案によっては例外もあるそうですが、今後、過去の名作が直ちに封印されるという事態は避けられるようです」(芸能記者)
ネット上では今回の発表について、「割と早い段階で方向転換を決めたNHKは評価できると思います」「有料だから、それが良い」「全メディアこれでOK」など評価する声が相次いでいる。
「NHKオンデマンドが配信再開にかじを切ったことで、今後、民放各局の有料配信サービスでも、猿之助が出演していたドラマの配信が再開される可能性が出てきました。ただし、猿之助容疑者がどのような罪で起訴されるかによってまた風向きが変わる可能性もあります」(前出・芸能記者)
作品と出演者の行いは切り離して考えるべきという意見もある中、NHKの今回の判断はのちのちどう評価されるだろうか。
(柏原廉)