このニュースをどう感じるのかに、その人の住んでいる場所が大きな影響を与えているようだ。
そごう・西武の労働組合は8月31日、西武池袋本店でのストライキを決行。当日は同百貨店の付近でデモ行進も行われた。
このストを巡って＜いまどきストなんてやるんだ？＞と驚く人たちも多いようだ。その一方でストに理解を示す人も決して少なくはなく、ネット上ではスト擁護派とスト静観派が大きく分かれている様子。実際のところ西武池袋本店はどれほどの人気を博しているのだろうか。
「首都圏にある商業施設の集客力ランキングで、西武池袋本店は上位の常連。日経リサーチによる調査では伊勢丹新宿店や渋谷ヒカリエを抑えて何度も1位となっています。ただこの調査では新宿の京王百貨店や小田急百貨店も上位にランクインしており、一般的な感覚とはズレもあるはず。池袋の商業施設ならむしろ、アルパやアルタを擁するサンシャインシティのほうがなじみ深いという人も少なくないことでしょう」（都内在住の女性誌ライター）
池袋駅で降りる人たちには、駅の東側にあるサンシャインシティに向かう人も多い。途中にはアニメ好きの聖地ともいえるアニメイト池袋本店もあり、若者の多くは西武池袋本店には目もくれず、サンシャインシティ方面に向かっているという印象だ。
ただ西武池袋本店は集客力ランキングで強いだけではなく、売上高の面でも日本でトップクラスの百貨店。都内では伊勢丹新宿店に次ぐ売上高を誇る商業施設なのである。
高級ブランドのショップが多く入居しており、客単価が高いという面もあるが、それ以外に注目したいのが西武池袋本店に深い愛情を抱く人たちの存在だ。
「池袋駅は西武池袋線と東武東上線のターミナルであり、1日の利用者数が200万人を超える巨大駅。その沿線に住む住民たちにとっては『デパートと言えば“いけせい”』なのです。東武東上線の利用者は東武池袋本店を使いそうなものですが、西武とは売上高で2倍以上の差があり、池袋では西武池袋本店がデパートの王様と言える存在です」（前出・女性誌ライター）
その印象はお中元やお歳暮選びにも色濃く表れる。東京や大阪では居住する沿線ごとにひいきのデパートがあるもの。東京では中央線なら伊勢丹新宿店、東急沿線なら渋谷の東急本店、京浜東北線なら銀座三越といった選択が一般的だろう。
それが西武池袋線や東武東上線の沿線住民だと、青と緑の二重丸でおなじみな西武池袋本店の包み紙にくるまれたお中元やお歳暮を選びがちなのである。
「それらの沿線住民には西武池袋本店へのシンパシーが根強く、今回のストにも理解を示す人が少なくありません。一方で池袋にはサンシャインシティを目的に来るという人たちだと、ストにも無関心だというわけです。実際、池袋には何度も来ているけど、西武池袋本店には一度も入ったことがないという人は珍しくなく、駅ビルがデパートだろうが家電量販店になろうが気にしないのではないでしょうか」（前出・女性誌ライター）
西武池袋本店に入居すると言われているヨドバシカメラだが、同店の店舗で最も売上高が大きいのは、大阪駅に直結したマルチメディア梅田店だ。肝心の消費者はやはり駅近の家電量販店を重宝しているのが現実。果たして「ヨドバシカメラ池袋店」は地元の沿線住民に受け入れられるのか。実際のところ「池袋にもヨドバシができてほしい」という消費者も少なくないことだろう。
