新しい弔いの形――コロナ禍での“弔い不足”はどう解消する?

 コロナ禍では葬儀の開催や参列機会が大きく減ったことから、いま、多くの人々に“弔い不足”の思いが生まれているようです。

 メモリアルアートの大野屋(以下、大野屋)が2022年10月に5年以内に親族または友人・知人が亡くなった経験がある400名を対象に行った調査では、コロナ禍での葬儀の参列機会についての問いには42.6%が「減った」と回答していました。

 うち、非参列者100名に参列できなかった理由を聞いたところ、「コロナ禍のため自粛した(44%)」「遠方のため(20%)」「家族葬のため遠慮した(20%)」が上位となり、近年増えている家族葬の増加によってさらに参列機会の減少につながっていることが判明。また、参加できなかったことに対する悔やむ気持ちの有無を聞いたところ、半数の53%が「ある」と回答し、弔い不足を感じていることが明らかになりました。

 弔い不足の悔やみを抱えながら過ごすのは、きっと故人にとっても喜ばしいことではないでしょう。そこで、次のような新しい弔いの場も生まれているようです。

■大野屋「私とみんなの法事サービス~リビング法事~」

 大野屋は「私とみんなの法事サービス~リビング法事~」として、同社で葬儀を執り行った顧客向けに、自社斎場や要望によってホテルや自宅で思い出の祭壇を設営し、語らいの場を提供する機会を設けています。

 遺族や知人、友人などが、お世話になった故人への弔意をさまざまな形で行いたいという気持ちに対応するために、このサービスが始まったそう。家族・親族はもちろん、通常では法事には呼べないような友人、趣味の仲間といったゆかりのある人々を呼び、寛いだ気持ちで語り合えるとか。

 故人の映像を会場に備えてあるモニターで映したり、故人の趣味のものを会場に飾り付けたりすることも可能。また、故人が生前好きだった食事メニューの提供や通常法事では出されないようなメニューにも対応し、ビュッフェ方式もできるそう。

■ハウスボートクラブの「VRお別れ会」

 ハウスボートクラブでは、故人を偲ぶお別れ会プロデュース事業「Story(ストーリー)」のサービスの1つとして、「VRお別れ会」を開催しています。

 さまざまな事情で葬儀などに参加できない人も多い中、そのような人たちを少しでも減らすべく開発されたそう。遠方からでもオンラインで参加でき、バーチャル空間とライブ配信中継によって、時間や場所にとらわれない開催が可能なんだとか。

 バーチャル空間内では参加者同士の会話もできるので、リアル同様の一体感も得られます。遠方や諸事情で参加できない人も、この会なら気軽に参加できますね。

 コロナ禍が明けつつある中、これらのサービスを活用して “弔い不足”の思いを解消するのもよいのではないでしょうか。

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