ジャニーズ事務所が10月9日、公式サイトから「故ジャニー喜多川による性加害に関する一部報道と弊社からのお願いについて」とする声明を発表。被害者の証言を利用した“虚偽の告発”を展開しているケースが複数ある可能性を指摘した。
折しも同日、「ニュース7」(NHK)では、およそ20年前に東京・渋谷にあるNHK放送センター内の男性用トイレで、ジャニー氏から性被害を受けたとする、30代男性の証言を伝えた。男性は2000年に放送開始した同局の音楽番組「ザ少年倶楽部」への出演を目指しながら、同局でダンスレッスンに臨んでいたが、トイレの個室内で性加害に遭ったのだという。
これが各メディアで報じられ、大きな反響を集めると、ジャニーズ事務所は9日夜、どの報道かを指定していないが、「弊社は現在、被害者でない可能性が高い方々が、本当の被害者の方々の証言を使って虚偽の話をされているケースが複数あるという情報にも接しており、これから被害者救済のために使用しようと考えている資金が、そうでない人たちに渡りかねないと非常に苦慮しております」と報告。また、“加害者側”という事務所としての立場から、被害の事実認定は「弊社が関与することを避け」ているとし、「独立した第三者である再発防止特別チーム」と、「被害者救済委員会」に委ねているという。
最後は、「報道機関の皆様におかれましては、告発される方々のご主張内容についても十分な検証をして報道をして頂きますようお願い申し上げます」と要請した。
「NHKを舞台にした新たな性加害報道の直後の声明だけに、メディアを牽制するように映るとの指摘も少なくありませんが、確かに、告発の真偽というのが、“法を超えた”補償に立ちはだかる大きな壁でしょうね。ジャニー氏は半世紀近くにもわたり性加害を繰り返したとされ、数十年前の被害証言の真偽をどうジャッジするかは、当初から懸念されるところでした。世間からは『言わんこっちゃない』『だから司法の介入は不可欠』との声があがりましたが、かといって司法に委ねれば、多くの被害告発が立証できずに終わる可能性も高い」(テレビ誌ライター)
ジャニーズ事務所は2日の会見時点で、実に325人が被害を申告し、補償を求められていると説明していた。その中に虚偽の告発があるなどと言い出せば、それこそ真の被害を告発した人たちへの誹謗中傷につながるリスクもあるのではないか。
(木村慎吾)