テレビ各局は、さまざまなジャンルの秋ドラマを放送中だが、その中で逆風が吹いている印象なのが、フジテレビ。
二宮和也、大沢たかお、中谷美紀がトリプル主演を務める月9ドラマ「ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~」は初回から低視聴率で、10月23日に放送された第3話は、世帯平均視聴率が5.3%まで落ちている。また、昨年の秋ドラマで話題を独占した「silent」のプロデューサーと脚本家が制作した「いちばんすきな花」も、思ったようなヒットには繋がっていない。
「『ONE DAY』はミステリー作品ながら、予算規模が違うと言えばそれまでですが、『VIVANT』(TBS系)のような凝った演出がなく、視聴者も飽きているようです。また、多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠が主演の『いちばんすきな花』も前評判は良かったんですが、会話劇が中心で登場人物も“生きづらさ”の主張が強く、感情移入できない視聴者も多い。SNSでは、人気脚本家の坂元裕二氏の作品のようだと絶賛する声もありますが、『いちばんすきな花』を担当する生方美久氏は新人ということも関係しているのか、物語に深みが足りない感もあります」(民放関係者)
そんな苦戦するフジの中で、注目されているのが、ムロツヨシが主演を務める「うちの弁護士は手がかかる」。平手友梨奈が共演し、最年少で司法試験に合格した天才弁護士の天野杏を演じているドラマだ。
ムロが担当する蔵前勉は、長年マネージャーとして尽くしてきた人気女優から突然解雇され、死を決意するほど意気消沈。そんな時に天野(平手)と出会い、マネジメントを引き受け、パラリーガルとしてサポートするという「年の差バディ」作品となっている。
「平手が演じる天野は、天才的な頭脳を持ちながらコミュ障で猪突猛進タイプ。かたや蔵前は飄々としていてコミュ力が高く、正反対な性格の2人が描かれます。平手の演技力は少し物足りなさがあるが、それを補うほどムロが味のある芝居を見せている。視聴率が決して高いわけではないですが、ドラマとしてバランスが良く、他局のドラマプロデューサーも注目しています」(前出・民放関係者)
ザ・ローリング・ストーンズの新曲「アングリー」を主題歌に採用するなど、何かとフジも力を入れている同ドラマ。ムロや平手をはじめ出演者が軒並みフジの番組に出演し番宣にも余念がないが、その裏では早くも、映画化プロジェクトが水面下で進んでいると言われている。
「フジテレビは、収益をあげるためドラマの劇場版を制作したがっている。『うちの弁護士は―』に関しては、立ち上げ当初から映画化も視野に入れていたようです。注目すべきは、演出の瑠東東一郎氏です。瑠東氏は映画監督も務め、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)の劇場版を制作。また、『極主夫道』(読売テレビ)の監督も務め、こちらも『極主夫道 ザ・シネマ』として映画化されています。今回、ドラマの映画化に手腕を発揮している瑠東氏が制作に関わっていることで『うちの弁護士は―』は当初から映画化を見据えて撮影されていると思われます」(前出・民放関係者)
また、平手をしっかりと囲っておきたい事情もあるだろうと、フジ関係者が教えてくれた。
「平手は、BTSでおなじみのHYBEの日本本社が管理する『NAECO』に所属している。HYBEはアジアでもっとも勢いがある芸能事務所で、フジもしっかりとパイプを作っておきたいところ。コロナ禍も収束したことでHYBEは日本への本格進出を目指しており、今がそのタイミング、というワケです」
過去にはその繊細な性格から、扱いづらいタレントと言われた平手。しかし、手厚くそうした面をケアしながらでも、『うちの弁護士は手がかかる』の映画化は実現させたいようだ。
(渡邊伸明)