渋谷区が“ハロウィンの街”から一転、“ゼロハロウィン”を目指して様々な規制を敷き、ハロウィン当日の10月31日は大きな混乱はなかった東京・渋谷。社会学者の古市憲寿氏は、この規制についてハロウィン直前に「とても恐ろしいこと」だと警鐘を鳴らし、反響を呼んでいる。
渋谷では、コロナ禍前の2019年まで、仮装した若者が集結する“ハロウィンの街”として賑わいを見せていたが、トラックの横転事件など、モラルに欠けた行動も多く伝えられ、昨年は、韓国・ソウルの梨泰院で159人が死亡する事も起きていた。渋谷区では「渋谷はハロウィンイベントの会場ではありません」とのメッセージを発信。10月31日や、直前の週末に渋谷には来ないよう呼びかけ、28日朝から駅前の一部エリアを封鎖する異例の対応となった。
これについて、古市は29日のXから「政治家が街への訪問や自粛を気軽に求めるというのは、本来はとても恐ろしいことだと思う。自由はそう簡単に制限したり、自粛させていいものではない」と投稿。「エンターテイメントシティ・シブヤ」を大々的に掲げていた過去を引き合いに出しながら、「いくらハロウィンが盛り上がっても、それに対応するような準備はできたのではないか」「行政ができる努力を全部すっ飛ばして『禁止』や『自粛要請』というのは、あまりにも安易な解決策だ。それにしても、コロナ時代を経て、人々の自由を制限することに対するハードルが下がってしまったのではないかと危惧する」などと、行政を批判している。
すると、この投稿を引用した作家の乙武洋匡氏は「難しい問題だなぁ。古市さんの考えももっともだけど、区民の安全や各店舗の営業の妨げとなっていることを考えると、渋谷区の方針は致し方ないのかなとも思う」と綴り、区の判断に理解を寄せた。
「古市氏の言うように、“人が混雑するから”との理由だけで、渋谷区が自粛要請を出すことには賛否の声が出ています。ただ、シンプルに仮装を楽しむだけなら、ここまでの厳戒態勢を取る必要はなく、やはり一部の人間が暴徒化した過去や犯罪の温床となったという点も大きな要因でしょう。ネットには、渋谷区の方針を支持する声が多く、『経済的なメリットよりも、モラルのデメリットが上回ったから仕方ない』『渋谷のあの騒ぎ方は異常』『ただお酒飲んで暴れたいだけの人が増えたから、この判断は正解』などの声が並んでいます。一方、池袋では新たなハロウィンイベントを開催し、大きなトラブルもなく、盛り上がりを見せたことから、やり方によっては無事に終えられるということでしょう」(テレビ誌ライター)
ひとまず、最悪の事態である雑踏による事故を防ぐという目的は達成できたことはよかったが、規制の仕方など、今後検証が必要かもしれない。
(木村慎吾)