グキッ!‥‥普段の何気ない動作はもちろん、くしゃみや咳をした瞬間にも襲いかかる激痛が、通称“ぎっくり腰”。経験したことのある人もいるのではないでしょうか。
そんな時、どんな対処をしていますか? きっと、あまりの痛さに動けなくなり、痛みが和らぐまで背中を丸めた姿勢で寝転んでしまう人も多いでしょう。
「ところがその姿勢のまま、あまり長い時間安静にしていると、治りを遅くしてしまうこともあるのです」と教えてくれるは医療ライター。一体、どういうことなのでしょうか。
「ぎっくり腰は、医学的には急性腰痛症という名称が付いていて、ほとんどが背骨の中でも骨盤と接している腰椎という5つの骨のどこかで発生します。一見、骨がズレて起こるように思われがちですが、レントゲンやMRI撮影をしても骨には異常がないことがほとんど。約85%が原因不明です。しかし、この腰椎の間にある軟骨組織の椎間板で異常が起きていると考えられています」(医療ライター)
背骨は合計24個の椎骨と呼ばれる骨と、その間に挟まれた椎間板で構成されています。いわば、骨と関節の連続。特に腰椎部分は腰椎前弯と言って、お腹側に弯曲した形になっていて、そこで上半身の重みを分散させて支えているのだとか。
そして腰椎前弯は骨盤が後傾することや背中を丸めることで失われます。すると椎間板の中にあるゼリー状の髄核という組織がズレて、周辺にある神経を圧迫して痛みが発生すると考えられているそうです。
「強い痛みを感じた直後は丸めた姿勢でもよいのですが、そのままだと椎間板がもとの位置に戻らないので、痛みが長引くことに。そこで、ゆっくりとうつ伏せになって、両手を脇に添えて深呼吸しながら5分間ほど待ってください。痛みがひどくて辛いようであれば、お腹の下にバスタオルなどを丸めて入れ、少し腰を浮かせてもいいでしょう。痛みが引いてきたら、上半身の力を抜いたままで、両肘を付いて腰を反らせる姿勢を再び5分ほど続けてください」(医療ライター)
こうすることで腰椎前弯が弯曲を取り戻すので、椎間板がもとの位置に戻って、痛みが和らぐのだとか。
普通は腰を「反らすといけない」と思いがちですが、実は逆だったのですね。でも、それで安心してはいけません。ぎっくり腰は、一度発症すると繰り返しやすいもの。痛みが少し引いたら、きちんと医師の診断と治療を受けるようにしましょう。