もしや一緒にアメリカに渡るのだろうか。それが最も自然な流れなのかもしれない。
1月11日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第70回では、ヒロイン・福来スズ子(趣里)の付き人を務める小夜(富田望生)が、アメリカ兵のサムから食事に誘われるシーンで幕を閉じた。この展開を4作前の朝ドラと重ね合わせる視聴者もいたという。
太平洋戦争が終わり、日本には米軍が駐留。前日の第69回ではサムが子供たちにチョコレートを配る場面があった。おなかが減って仕方のない小夜は、子供と一緒にチョコレートをもらい、その甘さに大感激。そんな小夜をサムは慈しむような目で見ていたのだった。
「どうやらサムは小夜のことを気に入った様子。サムを演じるプロレスラーのジャック・ケネディはアラバマ州の出身で、片田舎の純朴な青年という雰囲気を醸し出しています。小夜は『チョコが欲しい!』という自分の欲望には忠実ながら、宝くじの購入代金をおごってくれたサムには煙草をお返しするという律義な一面も。そんな小夜の真っすぐな心がサムを惹きつけたのかもしれません」(テレビ誌ライター)
果たして小夜とサムはどんな関係に発展するのか。ここで振り返りたいのが、第1回の冒頭で示された3年後の光景だ。時は昭和23年、劇場の楽屋でスズ子が赤ん坊を抱いていると、茨田りつ子(菊地凛子)が代わりに赤ん坊をあやしてくれたので、スズ子はステージに飛び出していけたのである。
今になって考えるとスズ子の赤ん坊をあやすのは、付き人の小夜であるべき。どうやら昭和23年の時点で小夜は、付き人を辞めていたことになる。とはいえ半ば親に捨てられる形で福島から東京へと奉公に出た小夜に、スズ子のほかに頼れる人などいなそうなもの。そうなるとなぜ、小夜の姿がなかったのだろうか。
「本作はブギの女王こと笠置シヅ子の生涯をモチーフにしていますが、小夜はドラマならではの架空の人物。そのため物語のどこかで彼女を退場させる必要があります。その仕掛けとして米兵と仲良くするという展開はもってこい。実際、戦後の日本では多くの日本人女性が米兵と結婚し、渡米していた歴史もあります。どうやら小夜はサムと一緒にアメリカに渡るのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
いわゆる「戦争花嫁」は4万5000人にも及び、その一人が4作前の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で初期のヒロインだった安子(上白石萌音)だ。安子は進駐軍将校のロバート・ローズウッド(村雨辰剛)と結婚し、一人娘のるい(深津絵里)を置いて渡米。ドラマ終盤ではるいと感動の再会を果たしていた。
それゆえ朝ドラファンは、今回の小夜を見て「カムカムの安子と同じ流れで、小夜もアメリカに渡るのでは?」と思ったはず。戦後の状況を鑑みれば、小夜が米兵と結婚するのは決して無理な筋書きではない。回を追うごとにファンが増えていった小夜にはぜひ、幸せな生活を送ってほしいと願う視聴者も少なくないことだろう。