今年も盛り上がってきたフィギュアスケートの世界。注目の羽生結弦の今シーズンの使用曲は、ショートプログラムでプリンスの「Let’s Go Crazy」、フリーでは久石譲の曲をいくつかミックスした「Hope & Legacy」となっている。
プリンスと言えば今年4月に、57歳にして急死を遂げたビッグアーティスト。実は羽生は、今回プリンスの曲を使用するにあたって、プリンスの動画や遺した言葉などを研究したという。その中で、彼の心に刺さった言葉がこれ。
「失敗で成功するためのものが見える」
羽生はこの言葉について、「僕は挑戦することに生きているし、失敗して、そこから強くなることに情熱を注いでいる。限界なんてないと常に思ってやっているので、すごく共感できた」と語っている。
今回プリンスの曲を使用することになったのは、もともとコーチがプリンスファンだったことがあるそうだが、『プリンスの言葉 Words of Prince』(秀和システム刊)の著者、二重作拓也氏はこう語る。
「羽生選手がプリンスの曲を使用することによって、実はプリンスに興味を持つ人が今すごく増えているんです。音楽界で逆風を受けながらも一人で立ち続けたプリンスと、氷上で一人で戦う羽生選手とは、シンクロする部分も多いんですね。だから羽生選手だけでなく、羽生結弦ファンにもプリンスの生き方や言葉が刺さるのかもしれません」
また、このショートプログラムで着る衣装、白いシャツとパンツに柄もののベストというデザインについても、こう教えてくれた。
「あれはプリンスが1991年にテレビ出演したときに着ていた衣装のオマージュです。プリンスのファッションは、プリンスにしか着こなせないなどとも言われていましたが、羽生選手はよく似合っています。プリンスファンも文句なしだと思いますよ」
大きなプレッシャーを背負って戦い続けたプリンスの魂を、氷上のプリンスが引き継ぐ。今年は2人の・プリンス・が一体化した氷上の芸術を存分に楽しめそうだ。