フジテレビ伝統のドラマ枠「月9」で1月15日に第2話が放送された「君が心をくれたから」。男女問わず幅広い世代に人気の高い永野芽郁が主演とあって、高視聴率が期待されたが、結果としては1月8日に放送された初回の世帯平均視聴率が7.2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と実に寂しい数字となった。これでここ3クールの月9枠ドラマは、「真夏のシンデレラ」、「ONE DAY」と3作連続で1ケタ視聴率でのスタートとなり、フジ局内ではため息が漏れているという。
「永野には、期待料込みで破格のギャラが支払われると言われており、共演する山田裕貴も人気が高く、主題歌は宇多田ヒカルが書き下ろした『何色でもない花』と力を入れていましたが、結果は今のところ何とも…物語は、永野演じる主人公・逢原雨が、山田扮する朝野太陽の命を救うために自分の『五感』を差し出すというファンタジーラブストーリー。第1話は、続きが気になる演出でしたから、2話で視聴率は多少上がるのではないかと言われていました。実際、雨が奇跡の“代償”に味覚を失い涙を流す場面に号泣する視聴者が続出したものの、視聴率はさらに1.4ポイント減の5.8%という結果でした」(制作会社関係者)
ただし、「Tver」の登録者数が第2話放送前で60万人を突破。視聴率が低迷し続ければ、見逃し配信サービスで人気が高いことをアピールしていくだろうと言われている。
「ここ最近のフジのドラマの『あるある』ですが、初回の視聴率が悪ければ、見逃し配信サービスで人気があると強調し盛り上げるんです。昨年10月期放送の『いちばんすきな花』も、視聴率は振るいませんでしたが、見逃し配信で大人気なのをアピールしてましたからね。今回、『君が心を―』についても、関係者は早くも視聴率は半分あきらめつつ、同様の措置をとる模様ですよ」(民放関係者)
もはやかつてのように、高視聴率で話題を集めるドラマが生まれなくなった感のある「月9」。伝統のドラマ放送枠は、今年で廃止されるのではないかとの見方まで業界内では広がっているという。
「今後は4月期に広瀬アリス、7月期にはSnow Man・目黒蓮と、主演に幅広い世代に大人気の俳優を用意しているそうですが、これでも視聴率が回復しなければ、月9ブランドが消滅かと現場は戦々恐々だとか。かつて、月9というだけでCM枠が高値で売れましたが、最近ではそのブランド力は落ちるばかり。広瀬や目黒を主演に迎えるのも、好感度が高い俳優でCMをゲットするための苦肉の策でしょう。一方、TBSの伝統のドラマ枠『日曜劇場』では、依然として『VIVANT』『半沢直樹』など定期的に大ヒット作が生まれています。フジのドラマ部門スタッフの力量不足もさることながら、そもそも月曜9時にドラマを放送すること自体が編成ミスであることを認めざるを得ない時期に差し掛かっているとの指摘もよく聞きますし、月9消滅の可能性がこれまでになく高まっていますよ」(スポーツ紙記者)
フジに「月9」が誕生したのは、1987年(第1作目は「アナウンサーぷっつん物語」)。長く同局のドラマ放送枠として様々に注目されてきたが、その歴史に終止符が打たれないように、ここから怒濤の巻き返しといくかどうか注目していきたい。
(渡邊伸明)