昭和を代表する歌手・笠置シズ子がモデルの福来スズ子の半生を描いたNHK朝ドラ「ブギウギ」の最終回が、3月29日に放送された。
歌手を引退する決断をしたスズ子(趣里)は、師である作曲家・羽鳥善一(草彅剛)の提案で、最後に客の前でステージに立つことを決意。梅丸少女歌劇団時代の仲間やライバルであった茨田りつ子(菊地凛子)らが見守る中、「東京ブギウギ」を熱唱。客席は総立ちの盛り上がりを見せたのだ。
さて、スズ子のモデルとなった笠置シズ子は、歌手を引退後、どんな道を歩んだのだろうか。
「40代前半で歌手をあっさり辞めた笠置さんには当時、称賛の声が多かったようです。ただ、勝手に引退を決めたことで師匠である作曲家・服部良一氏は激怒しました(後に和解)。その後は笠置シヅ子と名前の表記を改め、女優として数多くの映画やドラマに出演する傍ら、『家族そろって歌合戦』(NHK)の審査員を長く務め、またカネヨン石鹸のCMにも出演。60年代生まれにとっては“カネヨンおばさん”の印象が強いのでは」(芸能ライター)
そんなシヅ子は1980年代に入るとガンによる闘病生活が続き、85年3月に永眠。享年70であった。葬儀委員長は服部が務めている。
「ブギウギ」最終回のラストシーンは、スズ子宅の食卓。娘の愛子(このか)や家政婦の大野晶子(木野花)らとの食事シーンでスズ子は、「人に生まれてきたからには、みんなに義理があんねん。その義理を果たすんが人情やとワテは思うねん。せやからこの世は義理と人情だらけや」と、母のツヤ(水川あさみ)から教えられた人生訓を説いたのだ。
「シヅ子は、娘のヱイ子によると歌手引退後はいっさい歌うことはなく、家庭での鼻歌でさえ聞いたことがなかったという。その一方で、服部氏の銀婚式を記念したコンサートには特別出演して歌唱を披露しています。これがシヅ子が人前で歌った最後になりましたが、シヅ子らしい義理堅いエピソードですね」(前出・芸能ライター)
そんな最終回のラストに「おわり」の文字がなかったことで、視聴者からは「まだ物語は続くのでは?」「スピンオフに期待してます」との声がSNS上に寄せられている。
羽鳥の銀婚式での歌唱や「カネヨンおばさん」としてのスズ子を見てみたいものだ。
(石見剣)