12月10日に公開される映画「海賊とよばれた男」で主演を務める岡田准一に、「迫真の演技は期待通り」「こんなにも男気あふれる岡田くんを見たことありません!!」(公式サイトより抜粋)と、いち早く試写を観た人々から絶賛の声が上がっている。
本作は明治から昭和の激動の時代を生き抜いた石油業者の実業家・国岡鐵造と社員たちとの絆を描いた群像劇。岡田は全編の半分以上で60代の鐵造を演じ、90代の老齢にも挑戦した。60代では約3時間、90代では6時間をメイクにかけ、仕草や声の響かせ方まで徹底的に研究したという。
「主演が決まった当初、35歳の岡田さんが60~90代を演じるのはかなりハードルが高いだろうと言われていました。若い俳優が老け役に挑む時は、それまでの好青年的なイメージが強ければ強いほど“ギャップ負け”というリスクを伴いますが、観客の先入観を超える名演技を披露すれば、アカデミー賞主演男優賞に輝いた『ゴッドファーザー』(72年)のマーロン・ブランドや『アマデウス』(84年)のF・マーリー・エイブラハムのように究極の評価を得られます。三船敏郎は、岡田と同じ35歳の時に黒澤明監督の「生きものの記録」(55年)で、原水爆実験の恐怖から逃れるために南米へ移住しようとするエネルギッシュな老人を演じ切り、小津安二郎監督の映画で数多くの老人に扮した笠智衆も30代から老け役をこなしていました。ダスティン・ホフマンが「小さな巨人」(70年)で120歳の老人を演じたのは33歳、ジェームズ・ディーンが「ジャイアンツ」(56年)で実業家として大成した男の晩年を演じた時は24歳で、髪の生え際を後退させるために前髪を抜いたという逸話も残っています。いずれもそうそうたる名優です。今回の岡田さんの見事な演技は、彼らに肉薄すると言っていいかもしれません」(映画ライター)
入魂の演技で岡田が名優の仲間入りを果たすのか。今から公開が楽しみだ。