サッカー日本代表MF遠藤航のイングランド・プレミアリーグ“上陸”はまさに、「凄まじいクーデター」だった。少なくとも現地のフットボールメディアは日本のキャプテンによる大躍進をそのように位置付けているようだ。
現在31歳の遠藤は2018年よりベルギーのシント=トロイデンVVで海外でのキャリアをスタート。翌19年に加わったドイツのシュツットガルトでは主将を任されると、昨年8月に英国の強豪・リヴァプールへ加入した。
当初、リヴァプールは守備的MFの補強として22歳のエクアドル代表MFモイセス・カイセドを第一希望としていたが、200億円を超える破格の移籍金がネックとなり、契約を断念。その後、当時30歳の遠藤を29億円の移籍金で獲得し、一部の現地ファンからは「金をケチった挙げ句、やってきたのは無名の日本人」との辛辣な声も上がっていた。
しかし、途中出場からコツコツと信頼を積み上げ、確かな才能を見せつけると、3月10日開催のマンチェスター・シティとのリーグ首位攻防戦で、完全に潮目が変わった。この大一番では1-1と引き分けに終わったものの、先発フル出場を果たした遠藤は、マンチェスター・シティが誇る世界的MFロドリやケビン・デ・ブライネといった面々を凌ぐ存在感を見せ、“マン・オブ・ザ・マッチ”に選出。リヴァプール専門サイト「Anfield Watch」は、その“驚き”の活躍ぶりに「我々は遠藤航に謝罪しなければならない」とも讃えた。
「さらに英国のサッカーメディア『Football 365』も遠藤の“意外な活躍”に感銘を受けたようで、『今季、最も期待以上の活躍を披露した新戦力トップ10』を発表し、遠藤を7位に選出しています。その寸評では、開幕前、カイセドに代わる守備的MFとして、リヴァプールが『全く期待できない代役』である遠藤とサインを交わしたものの、結果的には『カイセド以上に優れていた』『1600万ポンドの日本人MFはリヴァプールにとって凄まじいクーデターとなった』などと絶賛。そのサプライズを『良い意味で期待を裏切るものだった』とも表現しています」(スポーツライター)
ただ、気になるのは、遠藤の最大の理解者であるユルゲン・クロップ監督が今季限りでの退任を発表しており、夏には新たなボスが就任するという点だ。再びゼロからのポジション争いが始まることから、遠藤にとっては大きな試練を迎えることになるだろう。
(木村慎吾)