史上初のフィギュアスケートGPファイナル4連覇を成し遂げた羽生結弦選手。昨シーズンの世界歴代最高得点更新に次いで、今シーズンもうれしいニュースにファンは大喜びだが、当の本人はそういうわけでもないようだ。
「羽生選手にとってははっきりいって悔しい結果でした。もちろん4連覇はうれしくても、今回はフリーでは3位。SPでのぶっちぎりの貯金と、フェルナンデス選手など有力選手たちが次々とコケてくれたおかげで、転がり込んだラッキーな優勝でした」(スポーツ紙記者)
さらに、羽生選手にとって複雑な思いがあったはずだというのはフィギュアスケートに詳しいスポーツライターだ。
「今回は、アメリカのネイサン・チェンがルッツ、フリップ、2度のトゥループという3種類4本の4回転をクリアに跳んでみせ、フリーで1位、SPの5位から2位に躍り出るほどの出来だったんです。ナンバーワンを自負する羽生選手にとっては悔しかったことでしょう。試合後の会見で記者から4回転アクセルの可能性について聞かれると、スケートを始めた時からの夢であるとして、『できます』と断言していました。羽生選手は実際に挑戦を始めていますし、チェン選手のような若手が台頭してきて、ますます4回転アクセルへの思いを強く持った発言だったのではないでしょうか」
一般のファンは華やかなジャンプにばかり目が行きがちだが、フィギュアスケートはジャンプだけではなく演技構成や表現力も重要。もちろん羽生選手はその総合力において世界最強なのだ。これでさらに4回転アクセルまで取り入れたら、その得点はいったいどこまでいくのか。
われわれを見たことのない境地へいざなう羽生選手の、さらなる進化に注目だ。
(芝公子)