「ミセス」の愛称で知られ、昨年大晦日のNHK紅白歌合戦で初出場を果たしたMrs. GREEN APPLEの新曲を巡る炎上が拡大している。
6月12日、新曲「コロンブス」のMVをYouTubeの公式チャンネルに公開したミセス。
「もしも生きた時代の異なる偉人たちが一緒に旅をしたら?」をテーマとして、それぞれコロンブス、ナポレオン、ベートーヴェンに扮した3人のバンドメンバーがホームパーティー中の類人猿に遭遇するというユニークな内容だ。
6月13日には「めざましテレビ」(フジテレビ系)でメイキング映像が紹介されるなど注目のMVだったが、SNSではシビアな指摘が相次いだ。
「1492年にアメリカ大陸を発見したことで知られるコロンブスですが、20世紀後半から『奴隷制度を発明した張本人』『植民地支配の象徴』だとする批判が世界中で高まっている。今回のミセスのPVではコロンブスが猿の着ぐるみに人力車を引かせたり、ピアノの引き方を教えたりするなど、現代の価値観すらすれば率直に楽しめない内容。案の定、SNSでは『人種差別を助長する』といった厳しい声が殺到しました」(音楽関係者)
批判を受け、13日午後2時過ぎにYouTubeの動画は非公開に。ミセスの公式サイトが「歴史や文化的な背景への理解に欠ける表現が含まれていた」として謝罪する事態となった。その後、同サイトでボーカルの大森元貴も動画の制作の経緯について詳しく公開しており、それによれば、動画に類人猿が登場することについて「差別的な表現に見えてしまう恐れがあるという懸念を当初から感じておりましたが、類人猿を人に見立てたなどの意図は全く無く、ただただ年代の異なる生命がホームパーティーをするというイメージをしておりました」などと説明。スタッフとも細部にわたり確認したが、あらゆる可能性を指摘し、別の案に至らなかったことは「我々の配慮不足が何よりの原因です」としたうえで、「歴史を彷彿とさせてしまうMVであったというご指摘を真摯に受け止め猛省しております」と重ねて謝罪した。
今回の炎上について、同関係者は「業界全体で重く受け止めなければいけない『深刻な問題点』がある」と指摘する。
「インディーズバンドが自主制作したMVならまだしも『コロンブス』のMVは大手レコード会社が手掛けた作品。楽曲は世界的飲料メーカーのCMソングにも起用されています。何百人ものスタッフが関わっていて、少なからず強い疑問の声も上がっていたはず。なぜ公開に至ってしまったのか、その構造から問い直す必要があると思います」(前出・音楽関係者)
ファンにとっては残念この上ない「ミセス」の炎上であった。
(塚原真弓)