【Re:リベンジ】笹野高史【燕は戻ってこない】酒向芳 “キモ爺”を怪演する2人は「ガチの先輩後輩」

 6月20日で最終回を迎えたドラマ「Re:リベンジ‐欲望の果てに‐」(フジテレビ系)。舞台となっている日本屈指の巨大病院である天堂記念病院の会長・天堂皇一郎を演じた笹野高史は、コミカル爺ちゃんやスマートなイケジイを演じてもハマるのに、今作では選民意識の高い「キモ爺」を好演した。特に食事シーンにおいては「キモッ!」と叫びたくなるほど、独特の食べ方をして視聴者を圧倒。皇一郎というキャラに深みを与えている。

 一方で「トラウマになりそう」「気持ち悪すぎ」「怖くて全身鳥肌」などの声が続出するほどの「キモ爺」を演じているのが、酒向芳だ。ちなみに彼の名前は「さこうよし」と読む。酒向は放送中の「燕は戻ってこない」(NHK)の第1話で石橋静河演じる主人公のリキが、子宮と卵子を提供してお金を得る「代理母」となることを決意した理由の1つである、「アパート隣人のヤバイおやじ」として登場。リキがアパートの駐輪場に忘れてしまった質素な弁当を勝手に食い散らかし、空になった弁当箱をリキの部屋のドアノブに掛け、ドアを叩きながら「次はあんたのタラコ入れてよ~」と叫び続けるシーンは、思い出すだけでも全身に鳥肌が立ってくる。酒向も笹野と同様、「キモ爺」だけでなくスーツの似合うステキなイケオジもめちゃくちゃハマる。公称184センチの長身は舞台に立つと特に映える。

 そんな2人が実は通称・自由劇場こと「オンシアター自由劇場」という劇団で先輩後輩だったことをご存知だろうか。笹野75歳。酒向65歳。楽器演奏ができないとキャスティングしてもらえない劇団のため、酒向はトロンボーン、笹野はサックスやトランペットなどを演奏できる。酒向は多摩美術大学の関連校で専門学校の玉川芸術学園(1992年廃校)を卒業後、文学座、青年座、無名塾といった有名劇団を受験するもすべて不合格。翌年に受験して合格したのが自由劇場だった。

 笹野は1968年に同劇団にスタッフとして入団。その後、退団、就職、退職、を経て役者として再入団。1982年に再退団しているが、その後も座友として同劇団の芝居に出演していた。

 自由劇場出身者といえば、柄本明、ベンガル、高田純次、岩松了、余喜美子、イッセー尾形、小日向文世など、活躍中の還暦オーバー役者がたくさんいる。誰もが1度は「怪演」で話題になっているところを見ると、笹野と酒向の「キモ爺」怪演は、自由劇場出身者の証と言えそうだ。

(森山いま)

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