現役時代に世界を渡り歩いたサッカー元日本代表・中田英寿氏が6月29日までに公開されたYouTube動画で、日本の国民的スポーツアニメ「キャプテン翼」の影響力に驚かされたと振り返っている。
「B’z」ボーカル・稲葉浩志のYouTubeチャンネルにゲスト出演した中田氏は、サッカー選手を志すようになったキッカケにまつわる話題の中で、漫画家・高橋陽一氏が手がけたヒット作「キャプテン翼」の存在を挙げた。
1977年生まれの中田氏にとって、81年より連載をスタートさせた同作からは大きな影響を受けたようで、「サッカーを始めた時が8歳で、当時はJリーグがなかったんですよね。Jリーグがないってことは、自分がサッカーをやる時にプロになるっていう夢はないんですよ。ただ、『キャプテン翼』を読んでいて、“これは面白いな”“ちょっとやってみようかな”みたいなところから始まって」と、サッカーへの憧れを抱く原点だったと語る。
同作では、主人公・大空翼がオーバーヘッドやドライブシュートなどのアクロバティックな大技を繰り広げる点も魅力の一つで、これらをマネする少年たちが続出。中田氏もその1人だったといい、「“オーバーヘッドって、こういうやつか。砂場でやってみよう”とか」と若きの思い出を明かした。
また、21歳にしてJリーグを離れ、イタリア・ペルージャへと加入した中田氏は、自分以外にも「キャプテン翼ファン」がいたと証言。「世界的にも影響力があって、ボクがイタリアに行ったり、イギリスに行っても、向こうの選手ですら『キャプテン翼』のファンだったりするんですよ。だから、高橋陽一先生の影響力はスゴいし、そういう人たちが本当に世界のトップ選手になってたりするんですね」と、海外での人気ぶりを紹介している。
「中田氏がプレーしたイタリアのセリエAでは、同国が誇るファンタジスタ、アレッサンドロ・デルピエロ氏や、フランチェスコ・トッティ氏、さらに、元フランス代表の天才司令塔ジネディーヌ・ジダン氏、ブラジル代表のネイマールらスーパースターも“『キャプテン翼』好き”を公言しています。また、日本でもプレーした元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタや、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ氏は、試合中に使用するレガース(すねあて)にも『キャプテン翼』に登場するキャラがプリントされていたことがありました。81年より日本での連載が始まり、大ヒットを受けて、のちに欧州や南米、中東でも翻訳されて輸出され、日本だけでなく、世界のサッカー少年に夢を与えた作品として知られています」(テレビ誌ライター)
その累計発行部数は国内外を合わせて9000万部以上とされており、「ドラえもん」や「鉄腕アトム」などの約1億部に肉薄する数字だ。そんな、数々のスーパースターをトリコにした「キャプテン翼」こそ、サッカー界の歴史で最も大きな貢献を果たしたアニメだといっても過言ではないだろう。
(木村慎吾)