フジテレビは、7月20日~21日に放送する「FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!」について、番組のタイムテーブルを発表した。今回の「27時間テレビ」は、同局で若者を中心に人気が高いバラエティ番組「新しいカギ」をベースとして、レギュラー出演中の霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコの7人が総合司会を務める。
当日は、「新しいカギ」で人気のコーナー「超!学校かくれんぼ」からスタートし、「千鳥の鬼レンチャン」、「さんまのお笑い向上委員会」と7月20日は既存の番組が深夜まで続く。翌日も、「めざましテレビ」、「ぽかぽか」、「逃走中」、「ハモネプ」、「ドッキリGP」と、ほとんどがすでにある番組の特別版。目新しい企画といえば、7月20日の深夜に放送される「粗品ゲーム~日本一不条理なお笑いバトル~」くらいのものだ。ここ最近の「27時間テレビ」の“手抜きぶり”には、スタッフたちも呆れ顔だと制作会社幹部が話す。
「通し企画で『100kmサバイバルマラソン』がありますが、これは2023年の焼き直し。ミニコーナーなどもあるようですが、基本的には既存番組を少し豪華にしてはめ込んだだけ。レギュラー番組の特番を羅列しているだけの印象で、わざわざ『27時間テレビ』を謳って放送する特番には見えないですね。過去にSMAPや『めちゃイケ』メンバーがMCを行った際は、お金をかけて豪華なオリジナル企画を作っていた。折からの経費削減も関係しているんでしょうけど…」
しかし、それ以外にも、手抜きに見える「27時間テレビ」を放送する事情があるという。そこには、フジテレビ一局に限らないテレビが抱える切実な問題が関係しているのだとか。
「TVerなどの見逃し配信が人気の中で、27時間も続けて見たいという視聴者はほぼ皆無。なので、『千鳥の鬼レンチャン』、『逃走中』など、それぞれを見逃し配信で見ても成立するように、既存の番組をベースに独立させて制作しているんです。『27時間テレビ』は新型コロナが蔓延した際にはすぐに放送を中止しましたが、フジとしてもそこまで重要視している番組ではない。ここ最近は視聴率も毎回ひとケタ台で低迷していますし、例年『27時間テレビ』の打ち切りは局内でも議論されているとも。今年も単調なタイムテーブルにしたのも、スタッフのモチベーションの低さも一因かもしれません」(スポーツ紙記者)
当初は、「24時間テレビ」(日本テレビ系)のパロディとしてスタートした「27時間テレビ」。とにかく笑える特番として人気だったが、いつの間にか惰性で制作される番組になってしまったかのようにも見えてしまう状況だ。が、悪い話ばかりでもなく、今回の「27時間テレビ」はこれまでの歴史を覆す番組になるかもしれないと、フジテレビの上層部は密かに期待しているのだとか。その裏側を他局の編成担当者が明かしてくれた。
「フジは、はじめから27時間を通しての視聴率は度外視しているそうです。それより、若者に人気が高い番組『新しいカギ』をベースにすることで、若年層がメインのコア視聴率の獲得を命題にしているといいます。昨年は『千鳥の鬼レンチャン』をベースに『27時間テレビ』を作り、コア視聴率では他局を圧倒した実績がある。今年も『新しいカギ』メンバーで若い視聴者の獲得を目指しているようです。今回の放送が成功すれば、今後は“若者が見る27時間テレビ”に番組の色を作り直していくはずですよ」
1987年に放送がスタートし、長い歴史を誇る「27時間テレビ」。今年はまさに衰退か再生かの分水嶺の放送回となりそうだ。
(渡邊伸明)