日本時間7月14日、アメリカ・ペンシルバニア州で演説中のドナルド・トランプ前大統領が銃撃された事件を受け、Xでは、2022年7月に凶弾に倒れた安倍晋三元総理に絡めた、ある情報に注目が集まっている。
トランプ氏の頭部を狙ったと考えられる銃弾は、発砲寸前に同氏が首をわずかに右回りに動かしたこともあり、最後は右耳上部を貫通。耳からホオにかけて流血する様子が映像に収められているが、奇跡的に命に別状はなく、直後にボディーガードらに囲まれ右手を高く突き上げ、星条旗をバックに聴衆に向けて無事をアピールした姿が世界的に話題となっているのは周知の通りだ。
この発砲寸前のトランプ氏の微かな動きがなければ、命を落としていた可能性は極めて高いが、今、“古い友人”の囁きが彼に九死に一生をもたらしたとする説がSNS上で拡散されているという。
銃撃事件発生からしばらくして、Xでは、発砲されたトランプ氏と記者のやり取りを綴った海外ユーザーの投稿が注目の的に。その投稿をもとに広まった情報によれば、記者が「大統領、なぜ(銃撃寸前に)突然頭の向きを変えたのですか?」と尋ねたところ、トランプ氏は「それは…一瞬、日本の古い友人の声が聞こえたような気がしたからさ…」と答えたというのだ。
すると、多くの日本人ユーザーがこの「日本の古い友人」を2年前に銃殺されたトランプ氏の“親友”である安倍元総理と解釈。「安倍さんがトランプさんを救ってくれたんだ」「もしこれが本当なら泣けてくる」「涙が出ます」などと感動のリアクションを次々に上げたのだ。
ただ、肝心の“元ネタ”を投稿したアメリカ人と思しきXユーザーは、想像以上に多くの人、とりわけ日本人が同投稿を拡散している現状に驚き、「皆が私のジョークの投稿を間に受けてしまっている…」とあくまでネタ、すなわち作り話だったと告白。また、実際には「日本の古い友人」ではなく「古い友人」と綴っていたが、アメリカのXで「Shinzo Abe」のワードが、同投稿の影響からか「トレンド入り」をしてしまったことについて「Oh my gosh(まじかよ)」と反応していた。
安倍氏とトランプ氏は19年5月、ゴルフ接待中に笑顔を寄せ合う仲睦まじい写真も大きな話題となり、2人の“友人のように親しい関係”は様々に報じられてきた。そんな2人の前者は凶弾に倒れ、後者は最悪の事態を回避できたが、その奇跡をもたらしたのが2人の友情だったともとれるような“ネタ投稿”は、日本人からすると真実であってほしいという願望が多分に含まれるような内容だったことが今回の騒動を呼んだと言えよう。とはいえ、間一髪のところで一命を取り留めたトランプ氏の強運については、安倍氏も天国でホッと胸を撫で下ろしているに違いない。
(木村慎吾)