中村克洋です。NHKや民放でアナウンサーをしていました。今回から、『“あなたの顔”であなたの人生をすばらしく変える方法』 をシリーズでお伝えします。
で、いきなり質問です。人は「悲しいから泣く」 のでしょうか?それとも、「泣くから悲しくなる」 のでしょうか?つまり、「悲しい」という心が「泣く」という顔の変化を引き起こすのか、それとは逆に「泣き顔」が、「悲しい」という心の変化を引き起こすのか、です。ほとんどの人から「悲しいから泣くに決まっているよ」という答えが返ってきそうですね。
この疑問は実は、17世紀から古今東西の心理学や脳科学の研究者を悩ませてきた大問題でした。何しろ、長い間、「人間は、人の心の中をのぞき見ることなどできなかった」のですから。
ところが、現代ではCTスキャンや脳波などで、感情の可視化、数値化ができるようになり、客観的な立場での研究ができるようになってきました。
その結果、この難問にも答えが出ました。何と現代科学のたどり着いた結論は、「どちらも起きている」だったんです。つまり「顔が泣くから、心が悲しくなる」ということもアリなのです。でもなかなか信じられないですよね。
ではここで、「泣く」を、「歌う」に置き換えて考えるとどうでしょう。人は、「楽しいと歌います」が、「歌えば楽しくなる」のも事実です。やってみれば、『実際にはどちらも起きている』 ということが実感できます。「笑う」で考えても同じ。たとえ作り笑顔でも、人は「顔が笑うと、心がうれしくなる」 のです。
ちょっと試しに自分がこれだと思う「元気顔」をしてみてください。心や体が元気なりますよね。「希望顔」は希望を生み、「優(しさ)顔」で優しさが、「ハッピー顔」で幸せが実現します。
この「どちらも起きている」という“気づき”は、私たちにとってとても大きな意味を持っています。
「“その気持ち”になれば、“その顔(表情)”になる」一方で、「“その顔”をすれば、“その気持ち”になれる」 ということが科学的に証明されたのです。これは突き詰めていくと「“顔”で心がコントロールできる」ということなのです。これってものすごい気づきですよね。私はこの“顔の特別な能力”を“顔パワー”と名づけています。
実は、この“顔パワー”は、工夫しだいで、私たちの人生全般に応用が可能なんです。
「顔」で、心だけでなく、幸せや運命や性格までがコントロールできてしまうのです。私たちは昔から、こんな“顔パワー”に気づいていたのではないでしょうか。なのに、なぜこれまで、ちゃんと活用してこなかったのでしょうか。 もったいない話です。「健康になる」「幸運を呼び込む」「夢を叶える」「幸せになる」…。そんなことが、“顔しだい”で“できる”のです。そのプロセスや科学的論拠もしっかりしています。
次回から、「“顔”で人生を好転させるための、いわば、『顔のトリセツ』とでも言うべきものの数々を科学的論拠もしっかりと説明しながら、シリーズでお伝えしていきたいと思います。
想像してみてください。あなたが今よりも、もっともっと幸せな人生を送ることが、「顔」でできる としたらどんなにすばらしいことでしょう。“顔”には人生を創りだす力があるのです。
●プロフィール
なかむら・かつひろ 1951年山口県岩国市生まれ。早稲田大学卒業後にNHK入局。「サンデースポーツ」「歴史誕生」「報道」「オリンピック」等のキャスターを務め、1996年から「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)ほか、テレビ東京などでワイドショーを担当。現在は広島経済大学名誉教授。著書 に「生き方はスポーツマインド」(角川書店)、「山田久志 優しさの配球、強さの制球」(海拓舎)、「逆境をチャンスにする発想と技術」(プレジデント社)、「言葉力による逆発想のススメ」(広島経済大学研究双書)などがある。