今年の夏ドラマは多くの話題作が最終回を迎えたが、スタートが遅くまだ絶賛放送中なのが「素晴らしき哉、先生!」(ABCテレビ・テレビ朝日系)だ。元乃木坂46の生田絵梨花が地上波の連続ドラマ主演に初挑戦した作品で、ブラックすぎる教育現場の内情を描いた学園モノ。生田は、新米高校教師・笹岡りおに扮し、保護者に翻弄されやる気を失いながらも、なんとか生徒のために奮闘する姿が描かれている。
「万引きや家庭問題など、どこにでもあるようなトラブルが題材で、リアリティのある設定がドラマファンから高評価を得ています。また、保護者だけでなく街のクレーマーからも標的にされる過酷な教師の実情を描き、考えさせられるような作品となっています。ミュージカルでも人気が高い生田の演技力が高く、私生活では恋人とトラブルを起こす女性教師の姿を、かなりリアルに表現しています」(スポーツ紙記者)
そんな同ドラマだが、9月15日放送回で衝撃の展開に。りおの妊娠が判明し、しかも、それが浮気されたことが原因で別れたばかりの元カレの子どもだというのだ。
「学園ドラマで、主役の教師が、元カレの子どもを妊娠するなんて設定は前代未聞。しかも、りおは高校教師で3年生の担任であり、出産するにしてもシングルマザーになるわけで、まさか堕胎はしないと思いますが、出産まで目が離せない展開になりました」(民放関係者)
妊娠が大きなキーワードとなってきた「素晴らしき哉、先生!」だが、今年の夏ドラマでは何かと「望まれない妊娠」を描いたドラマが多い印象。ほかにも、月9ドラマ「海のはじまり」(フジテレビ系)や、高校生の妊娠を描いた「あの子の子ども」(フジ系)、妹に旦那を寝取られる「どうか私より不幸でいて下さい」(日本テレビ系)など、妊娠によって、生活が一変する主人公が多く登場している。
さらに10月期の秋ドラマでも、松本若菜が主演を務める「わたしの宝物」(フジ系)が、不倫相手の子どもを出産して夫の子として育てる“托卵”がテーマ。エスカレートする一方のドラマ界“妊娠ブーム”の裏側を、キー局の編成担当者がこう明かす。
「昨年あたりから、NHK以外の民放各局ではドラマ枠を増やしているんです。結果、ドラマの題材集めにスタッフが苦慮し、ドラマになりやすい“予期せぬ妊娠”というテーマに飛びついているんじゃないでしょうか。実際、高校生の妊娠や不倫の末の妊娠などスキャンダラスな設定は、TVerなど見逃し配信サービスで人気になる傾向にあるますからね。今後も、托卵をはじめとして工夫を凝らした設定のドラマは増えていきそうですね」
ちまたでは、作り込まれたNetflix作品の「極悪女王」、「地面師たち」が人気だが、民放ドラマの根底に“安易な発想”があるのだとすれば、少々心配になってくるが…。
(渡邊伸明)