テレビ各局が今年の秋ドラマの放送をスタートさせた。様々なジャンルの作品で視聴者を楽しませているが、そんな中で“ブーム”の様相を呈しているのが「クズ男」だ。
これまでも女性に対してDVを行うようなクズ男はドラマに数多く登場してきたが、今年の秋ドラマは輪をかけて個性豊かなクズばかりが主要キャラで登場している。まずは、「あのクズを殴ってやりたいんだ」(TBS系)に登場する、Kis-My-Ft2の玉森裕太が演じる葛谷海里から見ていこう。
「玉森演じる葛谷は、金髪のカメラマンで過去の経歴が謎のキャラ。普段はバーテンダーをしていて、数々の女性を手玉に取っているホスト系クズ男です。奈緒が演じる主人公は、葛谷に翻弄され、ひどい目に合うのですが、女性視聴者からは玉森の艶っぽさが半端ないと大人気になっている。主人公より人気キャラとなり、ドラマが放送されるたびにSNSでは『かっこよすぎる』『もう完全に沼ってます』といったコメントであふれています」(スポーツ紙記者)
女性視聴者をトリコにするクズ男がいる一方で、その演技のうまさから、とにかく嫌悪感を抱かせるクズも大活躍。松本若菜が主演を務める「わたしの宝物」(フジテレビ系)では、田中圭がハードなクズ男を熱演。専業主婦である松本演じる神崎美羽の夫役なのだが、第1話からとんでもないクズっぷりを発揮した。
「田中演じる宏樹は、大手商社に務めるエリート会社員なのですが、外面ばかり良くて家庭では暴言を吐くモラハラ夫。家に忘れた書類を会社に持ってこさせて遅いと罵声を浴びせ、さらに子作りの相談をされると『ヒマだから子供欲しいんだろ』と、あり得ない暴言を吐く。女性視聴者からSNSで猛バッシングを受けています。しかも、回想シーンでは妻とラブラブだった過去の様子も描かれ、より視聴者はドン引きしています」(前出・スポーツ紙記者)
さらに、田中扮する宏樹以上と言っていい、ひどいクズ男を演じているのがKis-My-Ft2の千賀健永。千賀は「愛人転生 -サレ妻は死んだ後に復讐する-」(MBS)で主演を務め、「史上最狂のゲス夫」と称される大企業の御曹司・真山悠太を演じている。悠太は、妻である真山千里(小島藤子)を家政婦のように扱い罵詈雑言を浴びせるモラハラ男。しかも、妻が事故死するとすぐに“情婦”の三井瑠奈(香音)に乗り換え、妻の死を喜ぶような凶悪なクズ男だ。
「ドラマは、事故死した妻が情婦に転生し、衝撃の復讐を果たすストーリーとなっている。原作が漫画であることで、かなり思い切った設定で、悠太は度を超えたクズ男として描かれています。千賀は過去に、グループの冠番組『キスマイ超BUSAIKU!?』(フジ系)内の企画にて『彼女と遭遇した、店に迷惑をかける子供への対応』だとして、『お前さあ、うるさいんだよ』などのフレーズを発し、話題になったことがありましたが、今回の悠太役も板についていて、清々しいまでのクズっぷりを披露しています」(テレビ誌編集者)
他にも、秋ドラマとして「離婚後夜」(ABCテレビ・テレビ朝日系)、「離婚弁護士 スパイダー」(日本テレビ系)にも、クズ男が登場する。なぜ、ここまでクズ男が盛り上がっているのか。キー局の編成担当者が内情を明かす。
「クズ男がドラマに登場すると、良くも悪くも女性視聴者の興味を引きやすい。結果、見逃し配信の数字が期待できるんです。また、最近ではモラハラやDVが細分化され、やさしい口調なのに妻や恋人を巧みにコントロールする『ソフトモラハラ』なんて言葉も生まれています。ドラマの題材にしやすく、今後も多種多様なクズ男が作品に登場していくでしょうね」
他人の不幸は蜜の味というが、クズ男に翻弄される主人公を見たい視聴者が多いということだろう。
(渡邊伸明)