NHK大河ドラマは1年ごとに「良作」と「駄作」がくり返されるという根拠のないチマタの噂は、やはりただの噂にすぎなかったようだ。
なぜなら、放送中の「光る君へ」が「良作」と呼ばれているということは、来年放送される横浜流星主演の「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が「駄作」になるはずなのだが、10月26日に公式ホームページで公開された「べらぼう」特報動画グローバルVer.を見る限りでは「良作」にしか見えないからだ。
特に昨年放送されたNHK版ドラマ「大奥」シリーズが好きだった人には、30秒間の特報動画を早く見てほしい。きらびやかで奥行きのあるセットは実に荘厳で、何作か前の大河ドラマのような安っぽさは皆無。ちらりと映る遊郭や御鈴廊下もとても美しく、西野カナではないが震えた。
去年「大奥」のセットを見ただけで高揚したあのワクワク感が、どうやら「べらぼう」でも味わえるらしい。しかも「大奥」で徳川吉宗を演じて称賛された冨永愛、原作マンガ以上に父親とのおぞましい関係が胸をしめつけた徳川家定を演じた愛希れいか、次期将軍になろうと手を尽くすも破れる松平定信を演じた安達祐実、男装して大奥入りした土御門を演じた山村紅葉、原作マンガとは違う味わいのある杉下を演じた風間俊介、徳川家を潰そうと画策する西郷隆盛を演じた原田泰造、「医療編」で胤篤(福士蒼汰)の部屋子・中澤を演じた木村了という芸達者な7名が「べらぼう」にも出演する。
おや?と思ってプロデューサーと演出部の名前を調べてみたら、なるほど「大奥」と「べらぼう」に同じ名前がいくつも並んでいた。脚本の森下佳子だけが同じなわけではなかったことがわかり、さらにニヤニヤが止まらなくなっている。
今年、来年と2年連続で戦いを描かない大河ドラマで楽しませてもらえそうだ。
(森山いま)