「ごめんなさい。バラエティーで見る深澤辰哉さんは味があって好きなんだけど、冬月に魅力を感じません」「ごめんねフッカ。普通の不倫ドラマなら不倫相手と会えずに悩む女性役に共感できるんだけど、美羽に共感できないんだわ。フッカの冬月に執着する美羽の気持ちがぜんっぜんわかんない。だって田中の宏樹のほうが絶対にいいから」「すまないけど冬月はもう美羽に会わないで。しかも図書館で抱きしめるとかデリカシーないのか?」など、ネット上で謝罪から始まる批判の声が少なくない放送中のドラマ「わたしの宝物」(フジテレビ系)で冬月稜を演じている深澤辰哉。
申し訳ないけれど私も同感だ…と書きながら、ネット上の声と同じく最初に謝っていることに気がついた。そうなのだ。10月28日号の「AERA」で深澤自身が、オファーされた時に「1日だけ考えた」「自分がちゃんと挑戦しきれるかと考えた」「参加することで、まわりの方のお芝居を見て、いろんな刺激を受けて、また自分の幅が広がればいいなと思って」と明かしているように、松本若菜と田中圭が演じる夫婦の間に割り込む「間男」を演じることに対し、悩んでいることが伝わってくるから、頭ごなしに批判することがはばかられるのだ。
深澤がちっとも「浮かれていない」ことがわかるだけに、世間の人々はまず「ごめんなさい」と謝ってから批判しないと、自分が極悪人のように思えてしまうのでそれを避けたいのだ。前出の深澤の記事を読むと、このドラマのプロデューサーが11年前に深澤が出演していたドラマで存在を知り、今年1月期放送の奈緒と木梨憲武がW主演した「春になったら」(フジ系)で奈緒演じるヒロインを好きな葬儀社に勤める圭吾を演じている姿から、「冬月が似合うんじゃないか」とオファーが届いたそうだ。
このドラマのプロデューサーである三竿玲子氏は、2014年放送のドラマ「昼顔」(フジテレビ系)で斉藤工を上戸彩の不倫相手に抜擢し、「斎藤工ブーム」の火付け役となった人だから、「役者を見る目」には自負があるのかもしれない。しかし今回の深澤の抜擢は、視聴者がこれだけ見ていてつらいのだから、おそらく共演者もつらいだろうし、演者がつらければスタッフもつらいことだろう。
三竿氏によるキャスティングの“やってしまった度”は美羽の「托卵」と同じくらい大きいのではないだろうか。
(津島修子)