ドラマを見ることが好きな人なら、1度は「この役を別のあの人が演じたらどうだろう?」と妄想したことがあることだろう。
現在放送中のドラマの中で、どうしても「あの人とこの人がチェンジしたら、今より面白くなるのでは?」という疑念を打ち消せない2人がいる。それが「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系)の、地下アイドルとナースという二足の草鞋を新たに履き直した「ユズッコ」こと中村柚子を演じる森田望智と、「民王R」(テレ朝系)の、英才教育を受けてきた仕事のできる毒舌家の内閣総理大臣秘書・冴島優佳を演じるあのちゃんだ。
森田の演技力、表現力の高さは「全裸監督」(Netflix)で黒木香を演じた時からよぉ~く知っているが、現在演じているユズッコに限っては、演技達者であることがキャラクターの魅力を半減させているように思うのだ。結果的に仕事ができなくて自己評価が低いのに、承認欲求は人一倍強いキャラを森田が演じると、「めっちゃ嫌なヤツ」に見えてしまうのだ。
対するあのちゃんは、懸命に演技をしていることは伝わってくるが、頭の回転が速くて教養のある政治家秘書というキャラを演じるには、ちょっと無理があるように思えてならない。しかし、この2人の配置を逆にしてみてほしい。頭の回転がキレッキレの毒舌政治家秘書を演じる森田を想像することはたやすいし、1人でテンパって何をすればいいのかわからなくなり、先輩ナースに怒られながら「頑張ってやってるもん」とブツクサ言っている看護服を着たあのちゃんも、かなり想像しやすくないだろうか。
「適材適所」という四文字熟語を噛みしめながら、今夜も妄想が止まらない。
(森山いま)