多くの強豪クラブが来夏の獲得に関心を示しているとされるレアル・ソシエダMF久保建英。ここにきて、世界的メガクラブのレアル・マドリードが同選手を呼び戻す可能性が浮上しているという。
今季は特に飛躍したパフォーマンスを見せ、ここまで4ゴール1アシストという戦績を収めている久保。得意の敏捷性あふれるドリブルテクニックや、味方を生かす視野の広いプレーなどでチームの攻撃を活性化させており、イングランドではリヴァプールやアーセナルといったビッグクラブが久保とのサインを画策しているとも伝えられた。
しかし、“因縁”のレアルも触手を伸ばしているとなれば、久保も耳を傾けざるを得ないかもしれない。スペインのサッカーメディア「GOL DIGITAL」を始め、同クラブ専門サイト「Realmadrid Exclusivo」が報じたところによれば、レアルは2019年から3年間にわたって保有権を有していた久保の呼び戻しを“真剣に検討している”といい、チームを指揮する名将カルロ・アンチェロッティも久保の帰還に前向きだというのだ。
レアルでは、今季よりフランス代表FWキリアン・エムバペとブラジル代表FWエンドリッキを前線に加えたものの、前者は適応に苦しみ、後者は18歳という年齢もあって、まだまだ監督の信頼を掴めていない。
そのレアルの最前線で起爆剤としての役割を求められているのが久保で、レアルは実際の彼の契約解除金である6000万ユーロの半額3000万ユーロ(約50億円)での獲得が可能。これは久保クラスのプレーヤーに付された金額としては異例の“お手頃価格”であり、フロレンティーノ・ペレス会長が買い戻しを検討する大きな理由でもあるようだ。
「とはいえ、久保がそうやすやすと首を縦に振るとも思えません。まず、現在のレアルには久保とほぼ同じプレースタイルでポジションもかぶり気味なレフティーの選手が2人(ブラヒム・ディアス、アルダ・ギュレル)おり、いずれも将来性を高く評価されているワールドクラスの大器です。ここに久保が加わって先発争いに勝利できるかは、かなり厳しいラインで、待遇によってはその後のキャリアに大きな影響を及ぼします。また、19年夏にレアルに加入した久保ですが、試合ではほぼ起用されず、マジョルカやビジャレアル、ヘタフェなどへのレンタル移籍を繰り返して、現在のソシエダに加入。よって、レアルには古巣という意識はほぼなく、第5節の試合前インタビューでは『マドリーは僕の元チームだというけど、公式戦デビューもしていないし、いつもレンタル移籍ばかりだったから良い思い出がない』とコメント。さらに、近年はレアル批判とも解釈される発言が多く、今更関心を示されたところで、すんなりと両者が合意する可能性は高くないように思えますね」(スポーツライター)
それよりも、同じレフティードリブラーであるエジプト代表FWモハメド・サラーの後釜として獲得を目指しているとされるリヴァプールへの移籍のほうが、久保にとっては興味深い挑戦と言えるかもしれない。
(木村慎吾)