12月10日に最終回を迎えた窪田正孝主演「宙わたる教室」(NHK)で、文字の読み書きに著しい困難を抱える「ディスレクシア」と呼ばれる障害を持つ、東新宿高校の定時制2年生である柳田岳人を好演し、称賛されまくっている小林虎之介。ネット上にも「間違いなく小林虎之介の時代が来る」「ずば抜けたニューカマーの登場に拍手」「主演する窪田正孝も、共演するベテランのイッセー尾形も、小林虎之介に食われてて驚いた」など、小林が次世代を担う役者であることを感じた人がかなり多い。
古くは「十九歳」で2度目の高校に通う19歳を演じた織田裕二、「セカンドバージン」で主演の鈴木京香の相手役を務め不倫の恋を演じた長谷川博己。そして、「チェイス~国税査察官~」で当時はまだARATAの名義で活動し、義手の天才脱税コンサルタントを演じた井浦新、頼りないボンボンを演じた斎藤工、新人国税査察官を演じた田中圭など、今や日本のエンタメ界の中心にいる役者たちは、NHKの「名作ドラマ」と呼ばれる作品をきっかけに、ババーン!と大きく飛躍していることが多い。
「宙わたる教室」はドラマとしてもすばらしく「名作」と呼ぶに値する作品だと思う。おそらく近いうちに全話再放送の機会が訪れることだろう。その時にはぜひ多くの人に視聴してもらいたい。何歳になっても好奇心とあきらめない心を持っていれば、やりたいことはできるのだと、小林演じる岳人らがベタベタしない熱さを持って静かに教えてくれる。
社会からあぶれている、周りの人と自分は違う、どうして自分は上手に生きていけないのだろうかと思っている人には特に、このドラマが身に染みると思う。また、繰り返しになるが、小林虎之介という26歳の役者の、今だからこそ発散される輝きに満ちた「時分の花」が開く瞬間を目撃してほしい。
(森山いま)